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ID番号 00047
事件名 解雇無効確認請求控訴事件
いわゆる事件名 北海道炭礦汽船事件
争点
事案概要  共産主義者又はその同調者に該当するとしてレッドパージを受け解雇され或いは合意解約に応じた原告らが、解雇或いは合意解約の無効を主張し従業員としての地位確認を求めた事例。(一審 棄却、控訴棄却)
参照法条 労働基準法3条
体系項目 労基法の基本原則(民事) / 均等待遇 / 信条と均等待遇(レッドパージなど)
裁判年月日 1982年4月13日
裁判所名 札幌高
裁判形式 判決
事件番号 昭和50年 (ネ) 17 
裁判結果 棄却
出典 タイムズ471号197頁
審級関係
評釈論文
判決理由  (二)控訴人Xら両名に対する本件雇傭契約上の終了原因は、第一次的にマ指令に基づく本件解職通告書による解雇であるところ、昭和二五年七月一八日付の連合国最高司令官の内閣総理大臣あての書簡は、公共的報道機関その他の重要産業から共産主義者及びその支持者をすべて排除することを要請した同司令官の内閣総理大臣あての指示(以下マ指令ともいう。)であって、その趣旨は右に該当する者のうち企業の正常な運営を阻害する虚偽、煽動的、破壊的言動を行う者のみを排除すべく裁量の余地を与えたものではなく(最高裁判所昭和五〇年三月二八日第二小法廷判決)、また日本の国家機関及び国民は右指示に誠実かつ迅速に服従する義務があり、したがって日本の法令は右指示に抵触するかぎりにおいてその適用が排除されていたと解すべきである(最高裁判所昭和二七年四月二日大法廷決定、民集六巻四号三八七頁。同昭和三五年四月一八日大法廷決定、民集一四巻六号九〇五頁。同昭和三八年一二月三日第三小法廷判決、判決特報一五六号二〇五頁。最高裁判所昭和四七年(オ)第八判決)。そうして、被控訴人が石炭の採掘販売その他これに関連する業務を営む株式会社であり、昭和二五年当時石炭産業が重要産業であったことは当事者間に争いがないところである。従って右指示及びこれに基づく本件解雇基準は有効というべきであるから、これらを無効とする右控訴人両名の主張は採用することができない。