全 情 報

ID番号 00116
事件名 賃金請求事件
いわゆる事件名 北海道技研工業事件
争点
事案概要  原告は被告会社に副社長として採用されたがその実態は一般従業員とほとんど変わりがなかったところ、賃金の一部が支給されず、また、予告手当の支払なしと解雇の意思表示がなされたため、右未払賃金と予告手当の支払を求めた事例。(認容)
参照法条 労働基準法10条,20条
体系項目 労基法の基本原則(民事) / 労働者 / 経営担当者
労基法の基本原則(民事) / 使用者 / 労働基準法上の使用者
解雇(民事) / 解雇予告手当 / 解雇予告手当請求権
裁判年月日 1967年2月22日
裁判所名 札幌地
裁判形式 判決
事件番号 昭和40年 (ワ) 1024 
裁判結果 認容
出典 時報489号76頁
審級関係
評釈論文 判例時報489号76頁/労働経済判例速報614号10頁
判決理由 〔労基法の基本原則―労働者―経営担当者〕
〔労基法の基本原則―使用者―労働基準法上の使用者〕
 第四 被告は、原告が労働基準法第一〇条の事業の経営担当者として、同条の使用者にあたるから、同法第二〇条第一項にいう労働者ではないと主張するが、同法第一〇条は、労働基準法を遵守する責任を負い、従って監督機関の監督を受け、違反について罰則の適用を受ける者の範囲を明らかにするために使用者の概念を定義しているのであって、ある者が同条にいう使用者であるからといって、その者が同時に労働基準法の適用を受ける労働者でありえないわけではない。右第一〇条の使用者と同法第九条の労働者とは相排斥する概念ではなく、一面において経営担当者たる使用者として下位の労働者に対する関係で同法を守るべき責任を負うとともに、他面において、上位の者に対する関係で指揮命令に服し、同法の保護を受ける場合があるのであって、右第一〇条の使用者にあたるから同法第二〇条にいう労働者ではないという被告の主張は、主張自体失当であるし、前認定の事実関係のもとにおいては、原告はまさに、右にいう同時に使用者であり労働者である者ということができるから、被告のこの点の主張は理由がないというべきである。
〔解雇―解雇予告手当―解雇予告手当請求権〕
 以上の事実関係からすれば、原告は、被告会社の副社長ということではあったが、その実質は、被告会社代表取締役Aの指揮命令に服し、被告会社に使用され、賃金を支払われていたものというべきであり、なお被告会社の右解雇の意思表示は予告手当の支払もしくは現実の提供なくしてなされたものであって、労働基準法第二〇条の規定に違反するものであるが、原告においてこれをあえてとがめず、予告手当の支払のみを求めている本件においては、解雇を有効と認めて差支えないと解せられるから、被告は原告に対し平均賃金の三〇日分金八万円の解雇予告手当を支払う義務があるといわなければならない。