全 情 報

ID番号 00139
事件名 給料請求事件
いわゆる事件名 東繊商事事件
争点
事案概要  綿糸等を売買取引する商品仲買人たる被告会社で顧客の勧誘をなす等の業務をなし報酬の支払を受ける旨の契約を締結した者の契約関係が雇用契約かどうかが争われた事例。(労働者側請求認容)
参照法条 民法623条
労働基準法9条
体系項目 労働契約(民事) / 成立
裁判年月日 1955年3月3日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 昭和28年 (ワ) 10439 
裁判結果
出典 労働民例集6巻2号253頁
審級関係
評釈論文
判決理由  原告は昭和二十七年一月頃Aの紹介により、被告会社代表者Bとの間に、原告は被告会社に毎日出勤し被告会社のために資金繰り及び顧客の勧誘をなすなどの労務を提供し被告会社は原告を言わば顧問として待遇し、右の労務に対する対価として毎月三万円を支払う約束が成立し、同年二月一日より原告は右の約旨に従って労務に服した事実を認めることができる。被告会社はこの点に関し、原告は被告会社の被傭者ではなく、繊維商品仲買人に対する顧客勧誘に過ぎず、慣習に従って三割の玉割りを支払っていたのであると主張するけれども、被告会社代表者Bの自陳するとおり、被告会社は右の玉割りのほかに三万円宛数回支払っているのであるから単なる顧客勧誘者であるとの被告会社主張は採用できない。尤も、B尋問の結果により成立の認められる乙第一号証の一乃至二十二によれば被告会社の給与台帖たる給与明細書によれば原告に対する支出の記載がないことが認められ、また、他の従業員と異なり右の三万円に対してはいずれも所得税の源泉控除のなされていないことは原告も争わないところであるけれども、弁論の全趣旨によって右の各三万円はいずれも他の従業員と異なりB社長より直接原告に対して手交されていることが認められ、また給料として支払いがなされていながら所得税の源泉控除のなされていないことは世上稀有のことではないから、これらのことの故に前記の認定を左右することにはならない。