ID番号 | : | 00198 |
事件名 | : | 雇用関係存続確認請求事件 |
いわゆる事件名 | : | ユオ時計事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 試用期間中における、上司の命令や指示に対する無視、発言の仕方や態度の悪さ、同僚に対する非協力的態度、得意先とのトラブル等を理由として本採用を拒否した会社に対して、従業員たる雇用契約上の地位の確認が求められた事例。(請求棄却) |
参照法条 | : | 労働基準法21条 民法1条3項 |
体系項目 | : | 労働契約(民事) / 試用期間 / 本採用拒否・解雇 |
裁判年月日 | : | 1978年3月27日 |
裁判所名 | : | 仙台地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和52年 (ワ) 525 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 労働判例295号27頁/労経速報985号3頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 2 次に、被告は、本件採用取消の意思表示をしたのは原告が被告の従業員としての適格性に欠けていたからである旨主張するので、この点につき判断する。ところで、被告の本件採用取消の意思表示は、解雇の意思表示にほかならないが、本件就業規則二章一四条には「……勤務成績が不良で従業員として不適格と認められたとき。」(同条(2)号後段)はその者を解雇する旨規定されている。 しかしながら、試用期間中の従業員に対する解雇権の行使は、その期間の設けられた趣旨に鑑み、通常の解雇の場合に較べてより広い範囲でその自由が認められるとはいえ、使用者の恣意的判断によって勝手になし得るものではなく、前述した解約権留保の趣旨・目的に照らして客観的に合理的な理由が存し社会通念上相当として是認される場合にのみ許されるものと解するのが相当である(最高裁判所大法廷昭和四八年一二月一二日判決民集二七巻一一号一五三六頁)。 (中 略) (二)原告は、本件採用後、前記のとおり被告仙台営業所の営業部門に配置されて稼働してきたが、その勤務態度は悪く、対内的には、原告のA所長に対する発言・応対が横柄・非常識であって、上司や先輩からこの点につき注意を受けても反省せず、また、同僚との協調性にも乏しく、対外的には、原告の得意先に対する言動が節度を欠いて非常識であったため、被告の得意先に対する信用が低下した。 (中 略) 五 以上認定にかかる原告の言動、ことに、上司の指示・命令に対する無視的態度、上司や得意先に対する言葉遣いや態度の劣悪さ、同僚らとの間の協調性の欠如、これに関する上司からの注意にもかかわらず容易にこれを改めようとしない性格・態度及びこれらの行為に基因する営業上の支障の発生(取引停止等)等諸般の事情を総合的に判断すると、原告の一連の右行為は、正に本件就業規則二章一四条(2)号後段所定の事由に該当するものであることが明らかである。そして、これを理由とする被告の本件採用取消の意思表示は、客観的・合理的な事由に基づいてなされたものであって、社会通念上相当なものとして是認し得るものといわなければならない。 |