全 情 報

ID番号 00311
事件名 地位確認請求控訴事件
いわゆる事件名 慈恵大学事件
争点
事案概要  使用者が産後・育児休職後に復職した看護婦を休職前の就労場所と異なるそれに配転したことにつき、右配転には業務上の必要性がない等として、従前の就労場所において勤務する権利の確認を求めた事例。
参照法条 労働基準法2章
体系項目 配転・出向・転籍・派遣 / 配転命令権の限界
裁判年月日 1981年12月17日
裁判所名 東京高
裁判形式 判決
事件番号 昭和54年 (ネ) 1154 
裁判結果 棄却(上告)
出典 時報1039号131頁/労経速報1126号16頁
審級関係 一審/03297/東京地/昭54. 4.24/昭和51年(ワ)1244号
評釈論文
判決理由  3 被告大学の附属病院、少なくとも本院においては、従来からの慣行として、看護婦等が産前休暇に入ると、その時点から当然に、その所属を変更してそれまでの勤務場所から総婦長室付に配転し、その結果看護婦等が減員となったそれまでの勤務場所には、その後、業務の必要等に応じて可及的に他の看護婦等を補充配置し(もっとも、人員の都合でその補充配置の不可能な場合もありうる。)、産前休暇に入った看護婦等がその後出産及び産後休暇等を終了して復職する際には、総婦長がその新しい勤務場所を指定するという措置をとっていた。そして、その新しい勤務場所は、総婦長が右2で述べたような諸般の事情を考慮して指定するのであって、必ずしも産前休暇前の勤務場所と一致するとは限らず、むしろそれと異ることが多かった。なお、看護婦等が傷病により長期欠勤するなどの場合にも、右と同様の措置がとられていた。
 (中 略)
 被告大学の附属病院(少なくとも本院)における右3に認定の慣行は、病院の社会的使命や、右1及び2で認定の総婦長の権限、職責等に照らして、客観的な合理性のある慣行であったというべきであり、これを違法または不当とすべき理由は見出しがたい。