全 情 報

ID番号 00351
事件名 雇用契約存在確認請求事件
いわゆる事件名 振興相互銀行事件
争点
事案概要  病気のため入院加療し休職処分に付されていた従業員が、病気回復後なした数度の復職要求を拒否され、休職期間満了とともに懲戒解雇されたのに対し、右解雇は解雇理由に欠け、また不当労働行為にあたり無効であるとして雇用契約上の地位の確認等求めた事件。(雇用契約上の地位確認と認定限度での賃金支払請求認容)
参照法条 民法536条2項
労働基準法2章
体系項目 賃金(民事) / 賃金請求権の発生 / 休職処分・自宅待機と賃金請求権
休職 / 休職期間中の賃金(休職と賃金)
裁判年月日 1971年6月16日
裁判所名 仙台地
裁判形式 判決
事件番号 昭和38年 (ワ) 190 
裁判結果
出典 労働判例130号39頁
審級関係
評釈論文
判決理由  さて休職制度は、所定の事由が発生した場合、被雇傭者を雇傭者との関係でその身分を保持したまま、右事由の存続する間労務の提供をなす権利義務を有しない状態に置くものであるから、特段の定めがない限り右所定の事由が消滅すれば、休職の効果も当然消滅すべきこととなると解すべきである。ところで、右認定事実によれば、原告は昭和三六年九月以降肺結核を再発して入院加療中であったところ、被告は右の就業規則第四六条第一号に定める休職事由である「業務外傷病によって欠勤引続き四か月に及んだとき」に該るとして昭和三七年二月一日原告に対し就業規則による六か月間の休職発令を行なったのであって、その休職事由は病気による勤務不適当な状態の発生にあったものであるから、原告の健康状態が勤務可能程度に回復すれば、六か月間の休職期間の満了前であっても右休職事由は消滅し、当然に復職の効果が発生するものと解すべきである。
 (中 略)
 原告の健康状態は昭和三七年二月二〇日までには通常勤務可能な状態に回復していたものと認めるのが相当である。従って右同日以降原告の休職事由は消滅しているものというべきである。そして前記認定のとおり、原告は被告に対し昭和三七年二月二七日復職願を提出し、その後も再三にわたって右願を提出して就労の意思表示をなしたにもかかわらず、被告はこれを拒否し、昭和三八年一月一六日まで原告に対する休職扱いを継続したのであるから、民法第五三六条第二項により、原告は被告に対し昭和三七年二月二七日以降昭和三八年一月一六日までの賃金請求権を有するものというべきである。