全 情 報

ID番号 00461
事件名 地位保全仮処分申請控訴事件
いわゆる事件名 日本ファイリング製造事件
争点
事案概要  法人格は異にしているが実質的には単一企業とみられる製造会社から販売会社への異動命令につき、これを出向命令とし、出向命令拒否を理由とする懲戒解雇を無効とした原判決を維持した事例。
参照法条 労働基準法2章
体系項目 配転・出向・転籍・派遣 / 出向と配転の区別
裁判年月日 1976年7月19日
裁判所名 東京高
裁判形式 判決
事件番号 昭和48年 (ネ) 2633 
裁判結果 変更(確定)
出典 労働民例集27巻3・4合併号427頁
審級関係 一審/東京地/昭48.11.26/昭和47年(ヨ)2346号
評釈論文
判決理由  右(二)の判断のもとにおいては、旧会社の組織、資産が昭和四一年一一月控訴会社と申請外会社に分離され、控訴会社は製造部門である松戸工場を引き継いだものであることからして、松戸工場の組織に所属する者は一般に控訴会社の従業員と解するのが相当である。もっとも、控訴会社と申請外会社の関係及び両会社の経営方式が原判決理由説示のように独特のものであることからみて、個々の従業員のうち、その採用時期、職種、地位等によっては、厳密にどちらの会社に所属するか判定しがたい場合もありうると考えられ、特に(証拠略)によれば、後記労働紛争の発生後、昭和四五年一月、同年一一月、同四六年六月、同年一〇月、同四七年六月とたびたび機構改革が行われ、両会社の関係に異動が生じ、複雑になっていることが疎明されるので、それ以後はなおさらであろうが、少くとも被控訴人については、その採用経過、時期、職種、配属、勤務歴等から考えて、本来控訴会社に所属する従業員とみるべきである。
 この場合、被控訴人が申請外会社の従業員の地位をも併わせ有するかどうかについては、本件が控訴会社に対する雇傭上(労働契約上)の地位の有無のみが争われていることから、しいて判断を要しないわけであるが、一応の判示をするならば、両会社の関係が前記のようなものであることを考慮に入れても、二重に雇傭契約が存すると解することは技巧的に過ぎ、実態にもそぐわないものであって、被控訴人は単に控訴会社の従業員であると考えるのが自然であり、相当である。