全 情 報

ID番号 00584
事件名 解雇予告除外認定拒否処分取消請求事件
いわゆる事件名 天王寺労基署長事件
争点
事案概要  原告が労基法二〇条三項に基づき解雇予告除外申請をしたところ被告が不認定の処分をしたため右処分の取消を求めた事例。(認容)
参照法条 労働基準法20条3項
行政事件訴訟法8条
体系項目 解雇(民事) / 解雇予告と除外認定 / 除外認定と抗告訴訟・不服審査
裁判年月日 1982年12月20日
裁判所名 大阪地
裁判形式 判決
事件番号 昭和57年 (行ウ) 14 
裁判結果 認容(確定)
出典 労働民例集33巻6号1149頁/労経速報1140号3頁/労働判例401号23頁
審級関係
評釈論文 中窪裕也・ジュリスト807号106頁
判決理由  なるほど、被告の主張するとおり、労働基準法二〇条三項の除外の不認定は、即時解雇の効力の発生要件ではなく、即時解雇の有効無効は、専ら解雇予告除外事由が客観的に存するか否かによって決せられるものと解されるから、右除外の不認定は、使用者と労働者との間の雇用契約上の権利義務に何らの影響も及ぼすものではない。
 しかしながら、右のことから、直ちに労働基準法二〇条三項の除外の不認定が、抗告訴訟の対象にならないというものではなく、右不認定が、これを受ける者(使用者)の法律上の地位に、具体的現実的な不利益を与える場合には、なお、抗告訴訟の対象となると解すべきところ、これを本件についてみるに、労働基準法二〇条一項但書によれば、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合、又は労働者の責に帰すべき事由に基づいて解雇する場合には、使用者は、予告期間を置かず、かつ、予告手当を支払うことなく労働者を解雇することができるが、同条三項によって使用者は、右解雇予告除外事由について行政官庁の認定を受けなければならず、除外認定を受けずに即時解雇をすれば、たとえ客観的に即時解雇の要件が具備していて、その解雇が有効である場合でも、同法一一九条一号によって、使用者は、六月以下の懲役又は五千円以下の罰金に処せられることとなる。従って、除外不認定があった場合、使用者は、処罰の危険を冒さなければ即時解雇ができないという法的拘束を受けることになるから、右不認定処分は、使用者の法律上の地位に具体的現実的な不利益を与える行為というべきである。
 よって、本件解雇予告除外不認定処分は、抗告訴訟の対象となる行政処分というべきである。