| ID番号 | : | 00634 |
| 事件名 | : | 従業員地位確認等請求事件 |
| いわゆる事件名 | : | 高田製鋼所事件 |
| 争点 | : | |
| 事案概要 | : | 使用者がなした整理解雇につき、右解雇は整理解雇としての要件を欠き解雇権の濫用であるとして、従業員としての地位の確認等を求めた事例。 |
| 参照法条 | : | 民法1条3項 |
| 体系項目 | : | 解雇(民事) / 整理解雇 / 整理解雇基準・被解雇者選定の合理性 |
| 裁判年月日 | : | 1980年9月29日 |
| 裁判所名 | : | 大阪地 |
| 裁判形式 | : | 判決 |
| 事件番号 | : | 昭和52年 (ワ) 285 |
| 裁判結果 | : | 棄却 |
| 出典 | : | 労働民例集31巻5号951頁/労働判例351号37頁/労経速報1071号3頁 |
| 審級関係 | : | |
| 評釈論文 | : | 奥山明良・ジュリスト755号133頁 |
| 判決理由 | : | 本件人員整理の基準は、入社歴、年齢という被告の必要性又は経営改善に必要な要素とは直接関連性を有しない項目であって、将来性における貢献の期待性がありかつ低賃金の若年者を整理するという被告にとって不利益となる虞れのある基準であるから、経営危機を打開するための人員整理の目的に反するきらいがないではなく、整理解雇の基準としての合理性が存在しないかにみえる。しかしながら、右の如き不利益があるとはいえ、一定の人数を整理すれば固定費が軽減されるのみならず、入社歴の古い者、年齢の高い者は、被告にとって高賃金で将来における貢献の期待性が低いものの、経験により修得した技能の蓄積、被告に対する過去の貢献、定着性などを補って余りある長所もあるから、企業の必要性について実質的な項目を考慮した人員整理の基準を設定した場合に、それが抽象的であるほど個々の項目について評価が分れ、従業員に右基準の合理性、公正さについて納得を得られるような基準の設定が困難であり、それをめぐって労使間で紛糾することが予想されるような状況にあった当時において、被告がそれを回避するため、被告に対する貢献度が低いこと及び再就職の可能性が大きいことを優先的に考慮して、前記のような画一的基準を設定したことは、公正さの保たれていることについては問題がなく、また人員整理の目的に反する不合理なものということもできない。 |