| ID番号 | : | 00697 |
| 事件名 | : | 仮処分申請事件 |
| いわゆる事件名 | : | 弘南バス事件 |
| 争点 | : | |
| 事案概要 | : | 被申請人会社から就業規則に基づき解雇された者(申請人)が、右解雇は被申請人と組合との協約に定めた解雇基準に該当せず無効であるとして地位保全の仮処分を申請した事例。(申請認容) |
| 参照法条 | : | 民法627条 |
| 体系項目 | : | 解雇(民事) / 解雇事由 / 勤務成績不良・勤務態度 |
| 裁判年月日 | : | 1955年4月12日 |
| 裁判所名 | : | 青森地弘前支 |
| 裁判形式 | : | 決定 |
| 事件番号 | : | 昭和30年 (ヨ) 14 |
| 裁判結果 | : | |
| 出典 | : | 労働民例集6巻4号396頁/労経速報175号2頁 |
| 審級関係 | : | |
| 評釈論文 | : | 労働経済旬報272号19頁 |
| 判決理由 | : | 前示協約三三条と規則六五条とのように、協約と規則とが同一の解雇条項について、異なった基準を定めている場合の両者の関係は、協約によって解雇することができない以上、たとえ、規則によって解雇することができても、組合員である従業員を解雇することはできないものと解する。そして、協約三三条の規定は列挙的なものであつて、組合員である従業員は、同条所定の事由のある場合にだけ解雇され、その以外の事由では解雇されることがないことを保障するものであると解する。したがって、規則六五条によつて解雇するとしても、それが協約三三条によつて解雇することのできない場合には、規則による解雇の意思表示は、無効であるといわなければならない。ところで、規則六五条五号にいわゆる「労働能率が悪く」というのが、協約三三条五号にいわゆる「作業能力が著しく低下し」というのと、仮に、同義異語であるとしても、同協約には、「満五十歳以上にして」という制限があるから、大正三年一月一三日出生の申請人を協約三三条五号によって解雇することはできない。更に、申請人は、協約三三条一号乃至四号にも、何等該当するものではないから、申請人は、いずれにしても、協約によって解雇されるいわれはないものといわなければならない。それであるから、会社が、申請人に対してした解雇の意思表示は、結局、無効であるというの外ない。 |