全 情 報

ID番号 00714
事件名 仮処分異議控訴事件
いわゆる事件名 銚子醤油事件
争点
事案概要  「一人十殺」と題する記事を掲載した印刷物の印刷、発行、配布に関与したことを理由として懲戒解雇(第一次解雇)された六人の労働者が地位保全の仮処分審理中に、就業規則の「やむをえない事由があるとき」に該当するとして予備的に普通解雇(第二次解雇)されたため起した地位保全仮処分の異議控訴事件。(申請人の二人につき控訴棄却、労働者敗訴)
参照法条 労働基準法89条1項3号
民法627条
体系項目 解雇(民事) / 解雇事由 / 就業規則所定の解雇事由の意義
裁判年月日 1961年2月27日
裁判所名 東京高
裁判形式 判決
事件番号 昭和33年 (ネ) 1536 
昭和33年 (ネ) 1607 
裁判結果
出典 労働民例集12巻1号101頁
審級関係 一審/05025/東京地/昭33. 7.18/昭和31年(モ)11065号
評釈論文 石川吉右衛門・ジュリスト259号89頁
判決理由  就業規則第三十八条(旧規則も新規則も全く同趣旨である。)に基く解雇は、懲戒としての解雇でないことは、第三十八条が第六章休職及び退職の章下に規定せられ、懲戒による解雇は別に第十章懲戒の章下に規定せられていること及びその規定の内容からみて明らかである。しかし、申請人のいうように(前記事実摘示中申請人の主張二、)第三十八条の解雇の規定(以下通常解雇という)は、従業員の一定の非難すべき行為を理由とする解雇の場合に適用してはならないとするような根拠はない。従業員の非難に値する行為によって、第三十八条第一項第一号または第二号に準ずるようなやむをえない事由を生じた場合に、これを理由に通常解雇をすることを妨げる根拠はなにもないのであって、従業員の行為に因ると他の原因に因るとを問わず、同項第三号所定のやむを得ない事由を生じたときは通常解雇をなすことをうるものと解するのが、右規定の趣旨にそうものといわなければならない。そして、申請人らが、被申請人の主張するように、企業の破壊を目的とし、企業の存立を危うくする行為に出たものであれば、これらの従業員を解雇することは、同項第三号にいわゆる「やむをえない事由がある時」に該当すると解するのが相当である。