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ID番号 00743
事件名 仮処分申請事件
いわゆる事件名 日本貿易促進協会関西本部事件
争点
事案概要  日中貿易促進を目的とする協会により解雇された業務担当社員が、右解雇は思想、信条を理由とする差別待遇にあたり無効であるとして地位保全等求めた仮処分申請事件。(一部認容、一部却下。地位保全、賃金仮払いのみ認容)
参照法条 日本国憲法14条
労働基準法3条
民法90条
体系項目 労基法の基本原則(民事) / 均等待遇 / 信条と均等待遇(レッドパージなど)
裁判年月日 1968年5月23日
裁判所名 大阪地
裁判形式 判決
事件番号 昭和42年 (ヨ) 859 
裁判結果 一部認容
出典 時報537号82頁
審級関係
評釈論文 手塚和彰・昭和43年度重要判例解説〔ジュリスト433号〕167頁
判決理由  申請人のX1、X2路線を支持する旨の発言、その他右一連の発言は、当時の日本共産党の考え方とその趣旨を同じくするものであるところ、(中 略)。
 申請人の右発言は、同人の右従前の態度からすれば、それ自体、未だ被申請人に対し現実又は明白に企業を破壊する危険を伴うものであるとし、或は被申請人の事業目的の遂行に重大な支障を与えるものとするには、いささか早計のそしりを免れない。
 (中 略)
 被申請人は、申請人の発言が、その事業目的の遂行に支障をもたらすであろうという単なる抽象的危虞に基いて、申請人に対し本件解雇をなしたものというべきである。かくの如き単なる抽象的危虞に基く解雇は、申請人の思想、信条を理由として不利益な処分をしたものといって妨げない。そして、被申請人主張のいわゆるテンデンツペトリープなる法理が本件に適用せられるべき場合でないことは多言を要せずして明らかである。
 (中 略)
 そうすると、本件解雇は、思想、信条による差別的取扱いに該当し、憲法第一四条、労働基準法第三条にそれぞれ該当し、したがって民法第九〇条により無効であるといわねばならない。