全 情 報

ID番号 00770
事件名 地位保全仮処分申請抗告事件
いわゆる事件名 東海大学事件
争点
事案概要  私立の短期大学の助教授に対する解雇の効力が争われた事例。
参照法条 民法1条3項
労働基準法89条1項3号
体系項目 解雇(民事) / 解雇事由 / 職務能力・技量
裁判年月日 1972年4月8日
裁判所名 東京高
裁判形式 決定
事件番号 昭和46年 (ラ) 752 
裁判結果 棄却(確定)
出典 時報669号97頁
審級関係 一審/03696/東京地/昭46. 9. 9/昭和45年(ヨ)2346号
評釈論文
判決理由  おおよそ短期大学は深く専門の学芸を教授研究し、実際生活に必要な能力を育成することをおもな目的とするものであって(学校教育法第六九条の二)、その教員たる助教授は、右の学芸を教授する者として、それにふさわしい相当高度の学芸上の教養と、学生の尊敬及び信頼を獲得できる人格、識見を兼備する者でなければならない立場にあることはいうをまたない。しかるに当審における証人Aの供述それに原審及び当審に現われた全資料をあわせると、抗告人はいまだ著書を出したり論文を発表する等の方法でこれを客観化して、その学問的業績を世に問うた実績がないのみならず、抗告人の自ら主張する研究成果もこれを認めるに足る疎明がなく、抗告人の相手方短期大学部においてする授業内容は総じて程度が低く、また学生及び同僚に対する態度が独善的かつしつようであるなど、その判断や行動に奇異なところがあって、学生からの人望に乏しく、学生は次第に離反し、そのため抗告人の担当課目を選択受講する学生は年度を重ねるに従い逐次減少する傾向にあって、使用者としての相手方の信頼と期待にこたえるに耐えず、むしろこれを破壊する事実があったことが疎明される。
 (中 略)
 以上の諸点を考慮すれば本件解雇についてはこれを相当とする事由があり、その手続も直ちに違法としえない以上、相手方の抗告人に対する解雇は権利の濫用であるとまでは断定できない。