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ID番号 00960
事件名 破産債権確定事件
いわゆる事件名 日本勧業経済会事件
争点
事案概要  原告が会社が破産したため破産管財人を相手として未払賃金の存在することの確定を求めた事例。被告(上告人)は、原告に対する不法行為に基づく損害賠償債権をもって対等額で相殺しうると主張した事例。(上告棄却、労働者勝訴)
参照法条 労働基準法24条1項
民法505条
体系項目 賃金(民事) / 賃金の支払い原則 / 全額払・相殺
裁判年月日 1961年5月31日
裁判所名 最高大
裁判形式 判決
事件番号 昭和34年 (オ) 95 
裁判結果 棄却
出典 民集15巻5号1482頁/時報261号17頁/裁判所時報331号1頁/裁判集民51号341頁
審級関係
評釈論文 安屋和人・法と政治12巻4号143頁/右田尭雄・法曹時報13巻7号101頁/窪田隼人・民商法雑誌45巻6号967頁/高橋勝好・財経詳報409号12頁/三宅正男・判例評論40号14頁/山本進一・法律論叢35巻2号63頁/秋田成就・労働経済旬報481号17頁/川崎武夫・法律時報34巻2号84頁
判決理由  労働者の賃金は、労働者の生活を支える重要な財源で、日常必要とするものであるから、これを労働者に確実に受領させ、その生活に不安のないようにすることは、労働政策の上から極めて必要なことであり、労働基準法二四条一項が、賃金は同項但書の場合を除きその全額を直接労働者に支払わねばならない旨を規定しているのも、右にのべた趣旨を、その法意とするものというべきである。しからば同条項は、労働者の賃金債権に対しては、使用者は、使用者が労働者に対して有する債権をもって相殺することを許されないとの趣旨を包含するものと解するのが相当である。このことは、その債権が不法行為を原因としたものであっても変りはない。