全 情 報

ID番号 00992
事件名 仮処分申請事件
いわゆる事件名 日本油脂事件
争点
事案概要  補助的作業に従事する「直傭員」が一般従業員に適用される就業規則に従って処遇されるべきことおよび従業員組合のストライキによる休業による賃金の不払につき賃金、休業手当、附加金の支払を求めて仮処分を申請した事例。(申請認容)
参照法条 労働基準法26条,114条
体系項目 賃金(民事) / 賃金請求権の発生 / 一部スト・部分ストと賃金請求権
就業規則(民事) / 就業規則の適用対象者
裁判年月日 1949年10月26日
裁判所名 東京地
裁判形式 決定
事件番号 昭和24年 (ヨ) 2185 
裁判結果
出典 労働民例集6号151頁
審級関係
評釈論文
判決理由  〔賃金―賃金請求権の発生―争議行為・組合活動と賃金請求権〕
 次に労働基準法第二十六条が、本件ストライキに基因する休業に適用ありや否やを判断するに、本条は、特定の工場、事業場もしくは職場において、或る程度一般的に休業をなし、事実上特定の労働者に職を与え得ない場合に限り、その適用があり労働者がその労務を提供せんとし、且つ使用者においてこれを受領し得るにかかわらず、これを拒否した場合には、本条の適用なく民法の原則に従い、債務不履行の責に任じなければならない、と解すべきである。昭和二十四年四月二十四日から同月二十七日までの四日に亘り行われた本件ストライキは、油脂部けの職場ストライキがあり、同職場勤務の直傭員(別紙目録記載のもの)が就業を申し出でたのに対しては、他の職場で就業せしめ得たにも拘わらず(それまでの職場ストライキの場合には、職場の配置転換が行われていた事実に徴し、明かである)被申請人会社において、その休業を命じたのであるから、被申請人会社は、右直傭員に対し、賃金全額を支払うべき義務があるは勿論、右は、休業手当ということはできないが、その性質は実質的に同一のものというべきであるから、同法第百十四条の趣旨にかんがみ、同条所定の附加金をも併せ支払うべき義務があると解さなければならない。
 〔就業規則―就業規則の適用対象者〕
 実質的理由は存しないものであるから、直傭員に対する就業規則の制定せられるまでは、一般従業員に対する前記就業規則を、直傭員にも準用して、その地位の安定を図るのが最も合理的である。
 よって、被申請人会社はその王子工場の従業員に対して制定した就業規則に従って、直傭員を処遇しなければならない、というべきである。