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ID番号 01028
事件名 賃金請求事件
いわゆる事件名 山口放送事件
争点
事案概要  使用者によるロックアウトにより就労を拒否され賃金等が支払われなかったことにつき、右ロックアウトは違法であるとして、右賃金等の支払を求めた事例。
参照法条 民法536条2項
体系項目 賃金(民事) / 賃金請求権の発生 / ロックアウトと賃金請求権
裁判年月日 1980年4月11日
裁判所名 最高二小
裁判形式 判決
事件番号 昭和51年 (オ) 541 
裁判結果 棄却
出典 民集34巻3号330頁/時報970号170頁/タイムズ420号84頁/労経速報1047号14頁/労働判例340号25頁/裁判所時報789号1頁/裁判集民129号461頁
審級関係 控訴審/01019/広島高/昭51. 2. 9/昭和45年(ネ)254号
評釈論文 奥山明良・昭和55年度重要判例解説〔ジュリスト743号〕247頁/下井隆史・民商法雑誌83巻5号787頁/宍戸達徳・ジュリスト724号61頁/宍戸達徳・法曹時報36巻12号285頁/中窪裕也・法学協会雑誌99巻3号529頁/仲田信範・労働経済旬報1181号18頁
判決理由  個々の具体的な労働争議の場において、労働者の争議行為により使用者側が著しく不利な圧力を受けることになるような場合には、衡平の原則に照らし、労使間の勢力の均衡を回復するための対抗防衛手段として相当性を認められる限りにおいては、使用者の争議行為も正当なものとして是認されると解すべきであり、使用者のロックアウトが正当な争議行為として是認されるかどうかも、右に述べたところに従い、個々の具体的な労働争議における労使間の交渉態度、経過、組合側の争議行為の態様、それによって使用者側の受ける打撃の程度等に関する具体的諸事情に照らし、衡平の見地から見て労働者側の争議行為に対する対抗防衛手段として相当と認められるかどうかによってこれを決すべく、このような相当性を認めうる場合には、使用者は、正当な争議行為をしたものとして、右ロックアウト期間中における対象労働者に対する個別的労働契約上の賃金支払義務を免れるものというべきである(最高裁昭和四四年(オ)第一二五六号同五〇年四月二五日第三小法廷判決・民集二九巻四号四八一頁、同昭和四八年(オ)第二六七号同五〇年七月一七日第一小法廷判決・裁判集民事一一五号四六五頁、同昭和四七年(オ)第四四〇号同五二年二月二八日第二小法廷判決・裁判集民事一二〇号一八五頁参照)。