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ID番号 01125
事件名 退職金請求控訴事件
いわゆる事件名 日本貿易振興会事件
争点
事案概要  死亡退職金は相続財産に属するとした原判決につき、遺族固有の権利であるとして争った控訴事件。
参照法条 労働基準法11条
体系項目 賃金(民事) / 退職金 / 死亡退職金
裁判年月日 1979年9月28日
裁判所名 大阪高
裁判形式 判決
事件番号 昭和53年 (ネ) 1173 
昭和53年 (ネ) 1608 
裁判結果 取消(上告)
出典 労働民例集30巻5号933頁/時報951号70頁/タイムズ404号100頁
審級関係 上告審/01126/最高一小/昭55.11.27/昭和54年(オ)1298号
評釈論文 渡辺章・ジュリスト752号121頁
判決理由  およそ企業がその従業員や職員が死亡した場合に支払う死亡退職金の法的性質は、相続財産に属するか受給権者の固有の権利であり相続財産でないかは一律に決することはできないのであって、当該企業の労働協約、就業規則あるいは本件におけるような規程の内容からこれを考えるべきである。
 (中 略)
 本件規程によると、死亡退職金の支給を受ける者の第一順位は配偶者であって、配偶者がいれば子はまったく支給を受けないし、配偶者には内縁を含むこと、直系血族間でも親等の近い父母が孫より先順位となり、嫡出子と非嫡出子が平等に扱われ、父母や養父母については養方が実方に優先すること、死亡した者の収入によって生計を維持していたかどうかによって順位に著るしい差異を生ずること、受給権者が給付を受けずに死亡した場合には、受給権者の相続人でなく、同順位または次順位の者が給付を受け、給付を受ける権利は相続の対象とされていないことなどからみると、右規程の中心的機能は遺族自体の扶養にあって遺族が右規程に基づき直接死亡退職金を受給できるとみられるので、本件規程による死亡退職金は相続財産に属せず、受給権者である遺族の固有の権利と解するのが相当である。