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ID番号 01129
事件名 家屋明渡等請求本訴、土地所有権確認等請求反訴上告事件
いわゆる事件名 福岡工業大学事件
争点
事案概要  養親が死亡したことにより支給されることになった死亡退職金に関し、養子たる原告が養親の内縁の妻に対し受給権が原告に存することの確認を求める訴等を提起した事例。(上告審原判決一部破棄・自判)
参照法条 私立学校教職員共済組合法25条
労働基準法11条
体系項目 賃金(民事) / 退職金 / 死亡退職金
裁判年月日 1985年1月31日
裁判所名 最高一小
裁判形式 判決
事件番号 昭和59年 (オ) 320 
裁判結果 一部破棄自判
出典 家裁月報37巻8号39頁/労経速報1238号3頁/裁判集民144号75頁
審級関係 控訴審/福岡高/昭58.11.29/昭和57年(ネ)644号
評釈論文 坂本宏志・賃金と社会保障996号16~22頁1988年10月25日/西村健一郎・民商法雑誌92巻4号128~133頁1985年7月/大久保純一郎・最高裁労働判例〔7〕―問題点とその解説283~295頁1987年11月/中井美雄・家族法判例百選<第4版>〔別冊ジュリスト99〕60~61頁1988年11月/中井美雄・家族法判例百選<第5版>〔別冊ジュリスト132〕58~59頁1995年1月/中川良延・昭和60年度重要判例解説〔ジュリスト臨時増刊862〕81~83頁1986年6月
判決理由  「すなわち、改正後の規程六条は、死亡退職金の受給権者の範囲及び順位につき民法の規定する相続人の範囲及び順位決定の原則とは著しく異なった定め方をしているのであり、これによってみれば、右規程の定めは、専ら職員の収入に依拠していた遺族の生活保障を目的とし、民法とは別の立場で受給権者を定めたもので、受給権者たる遺族は、相続人としてではなく、右規程の定めにより直接これを自己固有の権利として取得するものと解するのが相当である(最高裁昭和五四年(オ)第一二九八号同五五年一一月二七日第一小法廷判決・民集三四巻六号八一五頁参照)。のみならず、改正前の規程六条においても、死亡退職金の受給権者が相続人ではなく遺族と定められていたこと、改正前も前記私立学校教職員共済組合法二五条及び国家公務員共済組合法二条、四三条が施行されていたことを考慮すると、他に特段の事情のない限り、改正前の規程六条は、専ら職員の収入に依拠していた遺族の生活保障を目的とし、民法上の相続とは別の立場で死亡退職金の受給権者を定めたものであって、受給権者たる遺族の具体的な範囲及び順位については、前記各法条の定めるところを当然の前提としていたのであり、改正によるただし書の追加は、単にそのことを明確にしたにすぎないと解するのが相当である。」