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ID番号 01178
事件名 仮処分申請事件
いわゆる事件名 淀川製鋼所事件
争点
事案概要  懲戒解雇事由の一つとして、午前二時から同三時までの夜勤休憩時間中の仮眠が挙げられたことにつき、休憩時間の自由利用といいうるか否かが争点となった事例。(肯定)
参照法条 労働基準法34条3項
体系項目 休憩(民事) / 休憩の自由利用 / 自由利用
裁判年月日 1957年1月25日
裁判所名 大阪地
裁判形式 判決
事件番号 昭和31年 (ヨ) 274 
裁判結果
出典 労働民例集8巻1号16頁/時報109号14頁/労働法令通信10巻8号4頁/労経速報242号2頁
審級関係
評釈論文 季刊労働法25号104頁
判決理由  (イ)職場における仮眠の件。
 申請人が昭和二十五年三月二十九日の夜勤時間中その職場において仮眠していたことは当事者間に争がないが、成立に争のない乙第一号証、証人A、Bの各証言、申請人本人の供述(第一回)を綜合すれば、申請人が当日仮眠していたのは午前二時から同三時までの夜勤休憩時間中であって当夜の職場責任者Cに対し休憩時間内に仮眠して時間が来れば起こして貰うことを申合せその諒解と指揮の下に他の夜勤者数名と共に仮眠していたものであって、当夜の保安巡回からの注意がなくても申請人等の右仮眠により爾後の作業遂行その他職場規律に支障を来すべき状況になかったことが窺われる。休憩時間の自由な利用は労働基準法第三十四条第三項により保障せられているところであって、右のように職場内における自主的秩序の下に休憩時間中仮眠することは労働者の疲労回復を目的とする同条項所定の休憩時間の自由な利用の限界を超えるものとも思われないのである。しかも前記証拠によれば、休憩時間中の仮眠はその後会社側においても昭和二十六年頃からは反射炉の夜勤者に対し夜食時間、休憩時間の一時間を含めて合計二時間の仮眠を許していることが認められる。
 従って、申請人の右仮眠は行為当時においてもいかなる懲戒処分にも値いしないものといわざるを得ない。