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ID番号 01237
事件名 行政処分取消等請求上告事件
いわゆる事件名 静内郵便局事件
争点
事案概要  勤務時間中の退庁を理由に賃金カットされ、また超過勤務命令拒否を理由に戒告ないし訓告処分に付された郵便局職員が、右退庁は協約上の特例休息時間中のものであり正当であり、右命令拒否は個別的同意のない不当な命令に対するもので正当であるとして右各処分の取消等求めた事例。(上告棄却、労働者敗訴)
参照法条 国家公務員法98条
労働基準法32条,40条
体系項目 労働時間(民事) / 時間外・休日労働 / 時間外・休日労働の義務
裁判年月日 1984年3月27日
裁判所名 最高三小
裁判形式 判決
事件番号 昭和54年 (行ツ) 74 
裁判結果 棄却
出典 労経速報1182号3頁/労働判例430号69頁/訟務月報30巻8号1451頁/裁判集民141号453頁
審級関係 控訴審/00428/札幌高/昭54. 1.31/昭和50年(行コ)2号
評釈論文 一之瀬高博・日本労働法学会誌64号126頁/岸野誠一・地方公務員月報255号48頁/荒木尚志・ジュリスト855号116頁/山口浩一郎・労働経済判例速報1220号19頁/山本吉人・公務員判例百選〔別冊ジュリスト88号〕114頁/上野至・昭和59年行政関係判例解説177頁/新谷真人ほか・季刊労働法132号175頁/菅野和夫・季刊実務民事法8号204頁/島田陽一・昭和59年度重要判例解説〔ジュリスト838号〕225頁/本多淳亮・民商法雑誌91巻6号935頁
判決理由  郵政省と全逓信労働組合との間の労働協約において、やむをえない事由がある場合には郵政省が職員に時間外労働又は休日労働をさせることができる旨の合意がされ、郵政省就業規則にも同旨の定めがされたこと、及び被上告人静内郵便局長と右組合日胆地方支部長との間において、同被上告人が所属職員につき労働基準法三二条又は四〇条所定の労働時間を延長しうる旨の協定が締結されたことは、いずれも、原審の適法に確定するところであり、上告人らはその勤務時間内に配達すべき郵便物を数多く持ち戻ったため本件時間外労働を命ぜられたものであって、右は前記労働協約に定めるやむをえない事由がある場合に該当する旨の原審の認定判断も、肯認することができる。原審は、これを前提とし、また、「国の経営する企業に勤務する職員の給与等に関する特例法」六条の規定に基づいて郵政大臣が制定した「郵政事業職員勤務時間、休憩、休日および休暇規程」は所属長が職員に対して一定の場合に時間外勤務を命ずることができる旨定めており、右は国家公務員法九八条所定の職務上の命令に当たるものであるとして、本件時間外労働を命ぜられたことにより上告人らは時間外労働の義務を負うに至ったと判断したものと解される。原審の右判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。