全 情 報

ID番号 01312
事件名 仮処分申請事件
いわゆる事件名 東洋工機事件
争点
事案概要  被申請人は本案判決確定まで、申請人らが休憩時間中、被申請人の構内において、ビラその他印刷物を配布したことを理由に申請人らを懲戒してはならないとの仮処分を求めた事例。(認容)
参照法条 労働基準法34条3項
体系項目 休憩(民事) / 休憩の自由利用 / 自由利用
裁判年月日 1967年4月21日
裁判所名 名古屋地
裁判形式 決定
事件番号 昭和41年 (ヨ) 1825 
裁判結果
出典 労働民例集18巻2号361頁
審級関係
評釈論文
判決理由  休憩時間は、本来労働者の労働力が使用者に売り渡されていない時間であり、使用者の指揮命令が及ばない時間であって、労働者が休憩時間を自由に利用し、使用者がこれに制限を加ええないことは労働基準法三四条三項の明定するところである。従って、労働者は休憩時間中には組合活動を自由になしうるのであり、組合員間の団結を強化するためのビラなどの配布行為も当然に許容されるべきものであって、会社はこれを一般的にまたは正当な理由もなく個別的に禁止したり、あるいは一般的に許可を求めるための届出を要求することは有効にこれをなしえないものと言わなければならない。
 会社就業規則二六条は、その四号において、一般的に会社内におけるパンフレットなどの配布行為につき、会社の許可を受けるべきことを要求しているのであるから、休憩時間内に限り、右条項は効力を有しないものと言うべく、これを根拠にその行為者を懲戒処分に付することは出来ない。
 但し、会社は、使用者として経営権の作用に基づき職場秩序を維持し、作業能率を阻害するものを排除する権利を有すると共に、企業所有者として施設管理権に基づき企業施設を支配し、その維持保全に必要な措置を行い、施設を汚損するなど施設の管理上好ましくない行為を阻止する権利を有する。従って、労働者が、右休憩時間利用の自由につき、会社の右諸権利によって一定の制約を受けることは止むをえない。