全 情 報

ID番号 01362
事件名 戒告処分無効確認請求事件
いわゆる事件名 日本電信電話公社事件
争点
事案概要  電電公社職員である原告らが年休を請求したところ成田闘争参加のおそれがあるとして時季変更権が行使されたが、原告らがこれを無視して当日欠勤したところ賃金カットされた上戒告処分に付されたので、処分の無効確認とカットされた賃金の支払を求めた事例。(一部認容)
参照法条 労働基準法39条4項
体系項目 年休(民事) / 年休権の法的性質
年休(民事) / 年休の自由利用(利用目的) / 一斉休暇闘争・スト参加
裁判年月日 1982年10月27日
裁判所名 大阪地
裁判形式 判決
事件番号 昭和53年 (ワ) 5843 
裁判結果 一部認容(控訴)
出典 時報1068号114頁/労働判例396号32頁/訟務月報29巻4号696頁
審級関係 上告審/03066/最高一小/昭62. 7. 2/昭和58年(オ)1524号
評釈論文 安枝英のぶ・季刊実務民事法3号250頁/森下康弘・昭和57年行政関係判例解説239頁
判決理由  (三)次に労働者の年次有給休暇の権利は、労基法三九条一、二項所定の要件の充足により、法律上当然に労働者について生ずるものであって、その具体的な権利行使にあたっても、年次有給休暇の成立要件として、「使用者の承認」という観念を容れる余地はなく、また年次有給休暇の使用目的については、労基法の関知しないところであり、休暇をどのように利用するかは、使用者の干渉を許さない労働者の自由であるというのが法の趣旨であると解するのが相当であり(最高裁判所昭和四八年三月二日判決民集二七巻二号二一〇頁参照)、また《証拠略》によれば、被告と全国電気通信労働組合との間の年次有給休暇に関する協約とその際の確認事項においても同趣旨の取決めが為されていることが認められる。
 (四)そうだとすれば、本件各年休は、原告らがその時季を指定したことにより当然に成立したものというべきであり、また、原告らが本件各年休をどのように使用するかは、原告らの全く自由に委ねられているのであって、被告がその利用について干渉をすることは許されず、いわんや原告らにその利用目的を問い正し、右利用目的の如何によって、承認を与えるというような関係にはないし、さらに、原告らが前述の成田空港の開港に反対する現地闘争に参加する虞れがあるからといって、必ずしも現地闘争に参加するとは限らない上、仮に参加したとしても、反社会的な行為をするとは断定し難いのであるから、原告らが右現地闘争に参加する虞れがあることのみを理由に、その年休の成立を否定することはできないものというべきである。もし被告において、原告らが、本件各年休を利用し、成田空港の開港に反対する現地闘争に参加して反社会的な行為を行なう虞れがあると判断したならば、被告としては、原告らに反社会的な行為を行なわないように説得に努めるべきであり、かつ、それが被告のなし得る限度であって、それ以上に、原告らが年休の時季指定をして欠勤をしたからといって、年休の成立を否定し、これを無断欠勤として扱うことはできないのである。そして、仮に、原告らが、右被告の説得に従わず、その取得した年休を利用して反社会的な行為を行なったならば、その時にはじめて右反社会的な行為を行なったことを理由に、懲戒処分をなし得ることがあるに過ぎないというべきである。