全 情 報

ID番号 01411
事件名 給与等支払請求事件
いわゆる事件名 宮崎県職組事件
争点
事案概要  県の出先機関に勤務する県職員らが、県庁玄関前での職場集会参加のための年休の不承認、取消を理由として、給与、勤勉手当を減額されたので、その減額分の給付を請求した事例。(請求認容)
参照法条 労働基準法39条4項
体系項目 年休(民事) / 年休の自由利用(利用目的) / 一斉休暇闘争・スト参加
裁判年月日 1975年7月25日
裁判所名 宮崎地
裁判形式 判決
事件番号 昭和45年 (ワ) 503 
裁判結果 認容
出典 労経速報926号27頁
審級関係
評釈論文
判決理由  また、右年次有給休暇の利用目的は、労働基準法等の関知しないところであり、休暇をどのように利用するかは、使用者の干渉を許さない職員の自由であって(もっとも職員がその所属の事業場においてその業務の正常な運営の阻害を目的として全員一斉に休暇届を提出して職場を放棄、離脱するいわゆる同盟罷業を行う場合は別にして)他の事業場における争議行為等に休暇中の労働者が参加したか否か、或いは右参加を目的として時季指定をしたか否かは何ら当該年次有給休暇の成否に影響しないものと解すべきである。(最高裁判所昭和四一年(オ)第八四八号、同四八年三月二日第二小法廷判決、民集二七巻二号一九一頁最高裁判所昭和四一年(オ)第一四二〇号、前同日同小法廷判決、同二七巻二号二一〇頁参照)。けだし右に言う業務の正常な運営の阻害にあたるか否か、或いは事務の都合により支障があると認めるべきか否かの判断は、あくまで当該職員の所属する事業場を基準として決すべく、右事業場において、当該職員が休暇をとって労務の提供を停止することにより、当該事業場の業務もしくは事務の正常な運営が阻害されるか否かを個別的、具体的、客観的に判断するべきものであるからである。
 以上によると、まず第一に、年次有給休暇の成否に関し考慮さるべき業務の属する事業場は、本件では、原告らの所属する個々の各出先機関であると解すべきであり第二に、右各事業場において原告らが本件年次有給休暇を取ることにより、その業務の正常な運営を妨げられるべき客観的事情が存在したことは全く認められず、第三に、したがって、既述のように原告らがその所属事業場の業務の正常な運営を阻害する目的で休暇を取ったものではなく、本庁における本件闘争支援のためこれを取ったものである以上、原告らの年次有給休暇権の行使は適法というべきであり、かつまた被告側には時季変更権を行使すべき事情もないから、原告らはその有給休暇権の行使により、その指定した本件闘争当日の一日もしくは数時間における就労義務を免除されたものといわなければならない。