全 情 報

ID番号 01451
事件名 賃金請求事件
いわゆる事件名 帝国興信所事件
争点
事案概要  生理休暇のうち一日を有給とする就業規則の定めに従い生休を取得した女子従業員が、右定めは一賃金計算期間に一日の有給生休を与える趣旨であるとして賃金カットされたのに対し、右定めは一生理期に一日の有給生休を与える趣旨であるとしてカット分の賃金の支払を求めた事例。(請求認容)
参照法条 労働基準法68条
体系項目 女性労働者(民事) / 生理日の休暇(生理休暇)
裁判年月日 1971年2月24日
裁判所名 名古屋地
裁判形式 判決
事件番号 昭和43年 (ワ) 2848 
裁判結果 (控訴)
出典 労働民例集22巻1号71頁
審級関係 控訴審/01452/名古屋高/昭48.10.15/昭和46年(ネ)136号
評釈論文
判決理由  被告の就業規則第四〇条五号は「女子が生理日の就業を著しく困難とするとき、一日の有給生理休暇を与える」旨規定している。
 (中 略)
 有給生理休暇の規定は、原告主張のとおり慶弔、罹災、隔離、産前産後の各休暇と並列して同一条文に特別休暇の一種として規定されていることが認められる。右慶弔、罹災等の各休暇は、その性質上、一賃金計算期間を計算単位とすることになじまないことは明らかであり、有給生理休暇がこれらの休暇と並列して同一条文に規定されていることから考えると、就業規則の文言上は一生理周期を単位として一生理期ごとに一日を与える趣旨に解するのが相当である。
 (中 略)
 女子の生理周期は、必ずしも一賃金計算単位である一八日から翌月一九日までの一カ月に符合していないことは明白である。
 従って、右のような婦人労働者の生理の実態に即して考えると、前記就業規則条項は、一生理周期を単位として一生理期ごとに一日の趣旨を規定したものと解すべきである。
 (中 略)
 被告と原告の所属する旧組合ないしその前身労組との間に、就業規則ないし労働協約の前記各条項にいう有給生理休暇一日とは一賃金計算期間を単位とする旨の労使の統一的解釈が明示的に存在したと認めることは困難である。
 (中 略)
 被告の本支店及び各事業所において、有給生理休暇は一賃金計算期間を単位として一日である旨の統一的取扱いが長期間継続してなされていたと認めることは困難である。
 (中 略)
 してみると、就業規則第四〇条第五号は、休暇の日数につき、一生理周期を単位として一生理期ごとに一日有給生理休暇を与えることを規定したものであることは明らかであるから、原告のその余の主張について判断するまでもなく、被告は原告との労働協約上本件生理休暇についても有給として取扱わなければならないことになる。