全 情 報

ID番号 01509
事件名 就業規則無効確認請求事件
いわゆる事件名 佐野安船渠事件
争点
事案概要  使用者がなした労働時間を変更する内容の就業規則の変更につき、労働協約に違反するとして少数組合及びその組合員が右協約の効力の確認及び右規則の無効の確認を求めた事例。
参照法条 労働基準法89条,92条,93条
体系項目 就業規則(民事) / 就業規則の一方的不利益変更 / 労働時間・休日
裁判年月日 1979年5月17日
裁判所名 大阪地
裁判形式 判決
事件番号 昭和49年 (ワ) 111 
裁判結果 一部認容 一部棄却 一部却下(控訴)
出典 労働民例集30巻3号661頁/時報939号119頁/タイムズ396号107頁/労経速報1015号3頁/労働判例322号60頁
審級関係 控訴審/01186/大阪高/昭55. 4.24/昭和54年(ネ)893号
評釈論文 山崎文夫・労働判例337号19頁/諏訪康雄・季刊労働法115号210頁
判決理由  被告における定時実働労働時間は、本件協約を基本とし、昭和三〇年以来、原告分会と被告が協議合意のうえ、具体的状況に適応した運用をなし、もって本件協約を実質的に改修しきたったものということができ、特に本件で問題となる昭和四八年規則による改訂前の定時実働労働時間は、昭和三九年、本件協約の規定を前提としてその範囲内で被告と同原告とが協議し合意に達したものであり、以来従業員は、これが被告の定時実働労働時間を規制するものとして右合意内容に従って就労し、これが慣行となったものというべきであって、昭和四二年規則は、右のように実施されていた労働時間制に関する慣行をそのままとり入れ規定したものというべきである。
 そこで、右慣行及びこれをとり入れた就業規則の法的拘束力について按ずるに、右慣行が原告分会と被告の協議合意を基礎として成立したものであり、右慣行の内容が定時労働時間制という集団的、統一的処理を要する事項にかかるものであることを考慮すると、右慣行及びこれをとり入れた就業規則の規定は、規範的効力を有する労働協約に準ずる効力を有するものというべきであり、従って、被告は、右慣行及びこれをとり入れた就業規則の規定の変更を一方的な意思のみによって行うことはできないといわなければならない。