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ID番号 01658
事件名 日直手当請求控訴事件
いわゆる事件名 宮城県事件
争点
事案概要  一般職に属する地方公務員の日直手当請求権の消滅時効につき、労働基準法一一五条の時効に関する規定の適用があるか否かが争われた事例。(肯定)
参照法条 労働基準法11条,115条
会計法30条
体系項目 賃金(民事) / 賃金の支払い原則 / 賃金請求権と時効
雑則(民事) / 時効
裁判年月日 1963年2月28日
裁判所名 仙台高
裁判形式 判決
事件番号 昭和37年 (ネ) 54 
裁判結果
出典 行裁例集14巻2号351頁/教職員人事関係裁判例集3号214頁
審級関係 上告審/01663/最高一小/昭41.12. 8/昭和38年(オ)1080号
評釈論文
判決理由  会計法第三〇条の「他の法律」とは、私法、公法を問わず、会計法以外の他の一切の法律を指し、時効に関し、他の法律に規定ある場合には、同条の適用を排除したものである。労働基準法も勿論同条にいう他の法律に該当し、公法に限り労働基準法は含まれないとの控訴人らの主張は、独自の見解といわねばならぬ。地方公務員法第五八条第一項によれば、いわゆる労働三法のうち労働組合法および労働関係調整法並びにこれらに基づく命令の規定は、職員に関して適用しないことを明言し、同条第二項では、労働基準法のうち特定の規定のみその適用を除外している。このことは文理解釈上、同法が原則として地方公務員法の適用を受ける一般職の地方公務員(地方教育公務員をも含む)に適用されるものと解すべきで、賃金等の請求権の時効に関する労働基準法第一一五条は、適用を除外されていないからその適用を受ける。控訴人らは、解釈上、同条の適用を除外すべきであると主張するが、明文をもって除外するものを規定している条文について、更に解釈によって除外するものを加えることは、法解釈上相当ではなく、本件においては、その必要も認められない。又控訴人らの請求している本件日直手当は、いわゆる実費弁償ではなく、その額の如何を問わず、控訴人らが、日直をしたことに対する労働の対価として、支払われるものであるから、労働基準法にいう賃金に該当するものと解すべく前記第一一五条によれば、賃金等の請求権は、二年間これを行わない場合においては、時効によって消滅すると規定している。従って会計法第三〇条にいわゆる他の法律に規定がある場合に該当し、右三〇条の適用はなく、もっぱら労働基準法第一一五条の適用があるものとなすべきである。してみれば控訴人らの本件日直手当の請求権は二年間これを行わないときは、時効により消滅するものと断ずべきである。