全 情 報

ID番号 01871
事件名 免職処分取消請求控訴事件
いわゆる事件名 大阪国税局事件
争点
事案概要  国税局長がなした懲戒処分につき、裁量権の濫用であるとして、取消を求めた事例。(棄却)
参照法条 国家公務員法27条,74条1項,98条3項
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒権の限界
裁判年月日 1980年10月30日
裁判所名 大阪高
裁判形式 判決
事件番号 昭和51年 (行コ) 20 
裁判結果 棄却
出典 労働判例356号32頁/訟務月報27巻3号498頁/労経速報1096号18頁
審級関係 一審/大阪地/昭51. 5.24/昭和41年(行ウ)119号
評釈論文 辻井治・昭和55年行政関係判例解説469頁
判決理由  公務員に対する懲戒処分は、当該公務員に職務上の義務違反、その他国民全体の奉仕者として公共の利益のために勤務することをその本質的内容とする勤務関係の見地において、公務員としてふさわしくない非行がある場合に、その責任を確認し、公務員関係の秩序を維持するため、科される制裁である。もとより、懲戒権者が懲戒処分をすべきかどうか、またいかなる処分を選択すべきかを決するについては、公正であるべきである(国公法七四条一項)し、平等取扱いの原則(同法二七条)や不利益取扱いの禁止(同法九八条三項)に違反してはならないが、懲戒権者は、懲戒事由に該当すると認められる行為の原因、動機、性質、態様、結果、影響等のほか、当該公務員の右行為の前後の態度、処分歴等、諸般の事情を考慮し、その裁量によって懲戒処分をすべきかどうか、また、いかなる処分を選択すべきかどうかを決定することができるものと解すべきである。懲戒権者の右裁量は、恣意にわたることをえないものであることは当然であるが、その行使としてなされた懲戒処分は、それが社会観念上著しく妥当を欠いて裁量権を付与した目的を逸脱し、これを濫用したと認められる場合でない限り、その裁量権の範囲内にあるものとして違法とはならないものというべきである(最高裁判所昭和五二年一二月二〇日判決民集三一巻七号一一〇一頁参照)。