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ID番号 01888
事件名 不当労働行為救済命令取消請求控訴事件
いわゆる事件名 朝日新聞西部本社事件
争点
事案概要  控訴会社の合理化に反対するビラ貼り活動を理由に賃金カット及び懲戒処分がなされたため組合が不当労働行為であると地方労働委員会へ申し立てたところ地方労働委員会がこれを認めたため控訴会社が救済命令の取消を求めた事例。(一審 棄却、控訴一部認容)
参照法条 労働基準法89条1項9号
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 違法争議行為・組合活動
裁判年月日 1982年3月5日
裁判所名 福岡高
裁判形式 判決
事件番号 昭和54年 (行コ) 8 
裁判結果 一部取消(上告)
出典 労働民例集33巻2号231頁/時報1054号155頁/タイムズ475号161頁/労経速報1122号20頁/労働判例389号55頁
審級関係 一審/福岡地/昭54. 4.10/昭和50年(行ウ)33号
評釈論文 香川孝三・昭和57年度重要判例解説〔ジュリスト792号〕218頁
判決理由  会社の本件懲戒処分のうち、Aに関する部分は、同人が西部支部執行委員長として支部組合員に指示して、昭和四九年五月一五日から同月二七日までの間昼勤拒否、夜間強行就労の行為をさせ、同年四月二六日から同年五月二六日までの間会社の許可した以外の場所にビラを貼らせたことを理由とするものであり、Bほか七六名に関する部分は、前記昼勤拒否、夜間強行就労を理由とするものであることは当事者間に争いがない。
 そして、前記昼勤拒否、夜間強行就労を理由とする本件懲戒処分が労組法七条一号の不当労働行為を構成すると判断して発した本件命令は相当であり、これを取り消すべき瑕疵は認められないが、Aに対する本件懲戒処分については、同人が前記のとおり組合員をしてビラ貼りをさせたことをも処分の一事由となっているので、同人に関する本件命令の当否を検討するに、右のビラ貼りが正当な組合活動として許容される範囲を逸脱したものであることは前示のとおりであり、参加人ら主張の如くAに対する本件懲戒事由が前記昼勤拒否、夜間強行就労を決定的動機とするものであって、ビラ貼りは付随的事由に過ぎないと認めるに足りる証拠はなく、本件ビラ貼りを企画実行させたことのみをもっても、本件懲戒を不当といいきれないことからすると、Aに対する本件懲戒処分をもって不当労働行為とした本件命令は、不当として取消を免れない。