全 情 報

ID番号 03037
事件名 一時金請求事件
いわゆる事件名 浦城タクシー事件
争点
事案概要  賃金規程上原則として年二回の賞与が支給される賃金体糸を選択したタクシー乗務員が賞与を請求した事例。
参照法条 労働基準法11条
労働基準法3章
体系項目 賃金(民事) / 賞与・ボーナス・一時金 / 賞与請求権
裁判年月日 1987年3月27日
裁判所名 那覇地
裁判形式 判決
事件番号 昭和59年 (ワ) 39 
裁判結果 一部認容
出典 労働判例497号110頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔賃金-賞与・ボーナス・一時金-賞与請求権〕
 ところで、被告のタクシー乗務員に甲種と乙種があり、乙種乗務員は完全歩合給であり、甲種乗務員に対してのみ賃金規程上原則として年二回の賞与が支給されるものとされていることは前記のとおりである。
 (中略)
 右の事実によれば、被告のタクシー乗務員は、甲種及び乙種のいずれかの賃金体系を選択することができ、甲種乗務員に前記方法により算定支給される月額賃金は、乙種乗務員に支給される完全歩合給に較べて少ないのが常態であり、甲種乗務員に対してはその分賞与によって補填されるしくみになっていたものと認め得るところ、被告の前記就業規則及び賃金規程の定めに鑑みると、右賞与の支給については、被告は会社の営業成績や各人の勤務成績等を加味して弾力的な運用を行うことが可能であるが、本件においては右のように二種類の賃金体系が存在し、賞与と言へども労働の対価としての実質を有することを考慮すると、右の裁量にも一定の制約があり、被告の賞与の支給ないし不支給の決定が合理性を欠く場合には、他に特段の立証がない限り、乙種乗務員と甲種乗務員との収入の差額をもって本来支払われるべき賞与額と推認するのが相当であり、かつ、その請求権が本来支払われるべき時期において具体化するものと解すべきである。