全 情 報

ID番号 03110
事件名 解雇無効確認等請求事件
いわゆる事件名 国際油化事件
争点
事案概要  支店における不正経理を知った後も本社に通知せず、不正をした経理担当者が個人的出捐により損失を補填するのを黙認していた支店長に対する懲戒解雇の効力が争われた事例。
参照法条 労働基準法89条1項9号
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 職務懈怠・欠勤
裁判年月日 1987年12月15日
裁判所名 福岡地
裁判形式 判決
事件番号 昭和61年 (ワ) 1451 
裁判結果 棄却
出典 労働判例508号10頁/労経速報1315号22頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-職務懈怠・欠勤〕
 原告は、昭和五四年一〇月以降、福岡支店長として支店業務全般につき監督義務を負っていたものと認められる
(中略)
 ところ、原告は、本件の不正経理の発生を防止しえなかったのみならず、前記認定事実によれば、遅くとも、自ら五五六万円余を出捐した昭和六〇年五月ころには、小笹給油所において、A、Bの父及び原告の各出捐額の合計二一〇〇万円余を超える巨額の架空売掛計上等の不正が行われていたことを知っていたと認められそれにもかかわらず、以後、同六一年五月に事態が本社に発覚するまで、何ら実態究明及び再発防止の方策をとらなかったばかりか、事態を本社に報告することすらせず、個人的出捐による補填をもって事態を糊塗することを容認し、かつ、積極的にこれに関与したというのであるから原告が支店長としての前記義務に反したことは明らかであり、このことは、(証拠略)によりその存在が認められる被告就業規則四九条(1)(当然なすべき注意を怠り、又は職務に怠慢を認めたとき)及び同条(4)(故意又は重大な過失によって会社に損害を与えたとき)にあたるものといえるとともに、被告が同条本文但書によって懲戒解雇を選択したことが不相当であるとはとうていいえない。