全 情 報

ID番号 03140
事件名 退職金等請求控訴事件
いわゆる事件名 日本高圧瓦斯工業事件
争点
事案概要  就業規則に懲戒解雇等円満退職でないときは退職金を支給しないという定めがある場合、労働者に長年の勤続の功労を抹消する不信行為がなければ退職金の不支給は許されず、突然退職届を提出して退職した行為は右不信行為とはいえないとして、退職金請求が認容された事例。
参照法条 労働基準法89条1項3の2号(旧3号)
体系項目 賃金(民事) / 退職金 / 懲戒等の際の支給制限
裁判年月日 1984年11月29日
裁判所名 大阪高
裁判形式 判決
事件番号 昭和59年 (ネ) 1542 
裁判結果 棄却(確定)
出典 労働民例集35巻6号641頁
審級関係 一審/00439/大阪地/昭59. 7.25/昭和59年(ワ)1518号
評釈論文
判決理由 〔賃金-退職金-懲戒等の際の支給制限〕
 控訴人は、被控訴人らが控訴人の摂津営業所の責任者であつて同営業所の運営の衝に当たつていたところ、突如として退職届を提出し、その後は右営業所の運営を放置して残務整理をせず、その後任者に対しても何らの引継をしないまま退職するなどの行為をしたものであるから、右は退職金の不支給を肯認させる永年勤続の功労を抹消するに足る不信行為に該当し、控訴人には被控訴人らに対し退職金を支給すべき義務がない旨主張する。
 仮に、被控訴人らにおいて退職に際し控訴人主張に係る右のような行為があつたとしても、その行為は、責められるべきものであるけれども、末だもつて労働者である被控訴人らの永年勤続の功労を抹消してしまうほどの不信行為に該当するものと解することができないから、控訴人の右主張は採用することができない。