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ID番号 03157
事件名 損害賠償請求等控訴事件
いわゆる事件名 小林商事事件
争点
事案概要  自らも居住している会社社屋の屋根の雪降し作業中、地上に転落して負傷した支店長の事故につき、作業方法についての協定権を有しており会社の安全配慮義務違反にはあたらないとされた事例。
参照法条 労働基準法2章
民法415条
体系項目 労働契約(民事) / 労働契約上の権利義務 / 安全配慮(保護)義務・使用者の責任
裁判年月日 1983年4月28日
裁判所名 札幌高
裁判形式 判決
事件番号 昭和56年 (ネ) 142 
昭和58年 (ネ) 66 
裁判結果 一部変更
出典 タイムズ502号119頁/労働判例418号95頁
審級関係 一審/札幌地岩見沢支/昭56. 4.27/昭和54年(ワ)34号
評釈論文
判決理由 〔労働契約-労働契約上の権利義務-安全配慮(保護)義務〕
 1 本件事故は、本件建物の落雪防止設備である本件丸太棒に腐蝕箇所があって、控訴人Xが転倒、滑落した際、そこが折損したことが一因となって発生したものであること、同控訴人は、被控訴人の夕張支店長として、また本件建物の居住者として、工作物である本件建物とその落雪防止設備の不良箇所を点検のうえ、その不良箇所の補修につき、多額の費用を要するものは予め被控訴人の許可を得て、そうでない本件丸太棒の交換程度のことはその判断によってそれぞれ行うことができ、また本件建物の雪下し作業についても、これを専門の業者に委託するか、自ら行うか、自ら行うにしてもどのような方法で行うかをその判断により決定することができる立場にあったことは、原判決理由の前項引用部分(加削変更にかかる部分を含む。以下同じ。)記載のとおりであり、これらの事実に照らして考えると、被控訴人としては、右のような立場にある控訴人Xに対する関係では、右工作物の保守管理の点を含む雪下し作業の安全確保に必要な費用を拠出負担すべきであって、その際同控訴人の右必要性の判断を不当に制限するなどしてその安全確保に支障を生ぜしめてはならないという義務を負っているということはできるけれども、さらに進んで、同控訴人をさしおいて、他の者をして右工作物の保守管理にあたらせ、あるいはその他の安全確保に必要な措置を講じさせるまでの義務はないというべきである。