全 情 報

ID番号 03182
事件名 損害賠償請求事件
いわゆる事件名 八尾市清協公社事件
争点
事案概要  公共屎尿処理場において突然後退してきたバキュームカーによって運転手が轢過されて死亡した事故につき、使用者に安全配慮義務違反があったとされた事例。
参照法条 労働基準法2章
民法415条
体系項目 労働契約(民事) / 労働契約上の権利義務 / 安全配慮(保護)義務・使用者の責任
裁判年月日 1983年12月22日
裁判所名 大阪地
裁判形式 判決
事件番号 昭和54年 (ワ) 5900 
昭和55年 (ワ) 2806 
裁判結果 控訴
出典 時報1119号99頁/交通民集16巻6号1720頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔労働契約-労働契約上の権利義務-安全配慮(保護)義務〕
 被告公社は、Aとの雇傭契約に基づき、使用者として、Aが労務を提供するに際してAの生命身体に危害が発生しないように労務提供場所である本件処理場の施設の安全について配慮すべき義務を負うというべきであるところ、本件処理場の屎尿投入施設には、二台のバキュームカーが並んで作業するにはプラットホームが狭いのに、車止めの設置や停止線の表示がない等の瑕疵が存し、そのため右施設で作業する者らに重大な結果が発生する危険性があったことは十分予測できたものと考えられることは前記三で判示したとおりであるから、被告公社としては、被告八尾市から本件処理場の使用許可を受け昇ら従業員を雇傭して業務を遂行している者として、自ら直接施設につき工事を行ってこれら瑕疵を修理改善することはできないとしても、被告八尾市に対し、プラットホームの改良や車止めの設置を申入れるとか、事実上停止線を表示し或いは運転手各自に停止位置を指導し、もしくはプラットホームに指導員を置いて停止位置を運転手に指示する等の措置を行って右危険を未然に防止することは容易に実行可能であったと考えられる。しかるに、《証拠略》によれば、被告公社においては本件事故当時まで作業の安全対策として月一回開かれる班長会で安全一般についての指導を行い、年二回開く交通安全講習会で交通事故防止の講習を行い、その外、事故が何回か続いたときに全職員にマイクで注意を呼びかけ、また、主任が月一回ないし二回程本件処理場を見回る程度のことを行ってはいたものの、特に具体的にバキュームカーの停止位置等についての指導はなされていなかったこと、さらに被告ら間の協議会等においても被告公社から被告八尾市に対し本件施設の改善申入等がなされたことはなかったことが認められる。
 右事実によれば、被告公社は、本件処理場の屎尿投入施設には瑕疵が存しこれに起因する作業員の死亡等の重大な事故が発生する危険性が予測できたにもかかわらず、右施設の安全を確保して被用者に対する危険の発生を未然に防止すべき注意義務を怠ったことにより、本件事故を発生させたものといわざるを得ず、右行為は、Aに対する使用者としての安全配慮義務に違反するものと解するのが相当であるから、被告公社は被告八尾市と連帯して原告らが本件事故により蒙った損害を賠償する義務があるというべきである。