全 情 報

ID番号 03300
事件名 地位保全等仮処分申請事件
いわゆる事件名 大川自動車事件
争点
事案概要  交通事故を理由とするバス運転手に対する懲戒解雇につき、組合活動を嫌悪してなされたもので不当労働行為にあたり無効とされた事例。
参照法条 労働基準法89条1項9号
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 違法争議行為・組合活動
懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 職務懈怠・欠勤
裁判年月日 1979年5月4日
裁判所名 大阪地
裁判形式 決定
事件番号 昭和51年 (ヨ) 2864 
裁判結果 一部認容・却下
出典 労経速報1018号26頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-違法争議行為・組合活動〕
〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-職務懈怠・欠勤〕
 以上のようにみてくると、会社の主張する本件懲戒解雇の理由のうち、賞罰規程細目協定書六条所定の懲戒事由に該当する余地のあるものといえるのは、せいぜい2の申請人が本件交通事故を起したことということになるが、前記三の2で認定した事実によれば、会社は、本件交通事故をもって、申請人を懲戒解雇はもちろん出勤停止の処分もする意図はなかったものであるといえるところ、前記二の4で認定の事実からすれば、申請人において、本件交通事故の遠因が会社の劣悪な労働条件、特に連続勤務に存在すると思うのも止むをえないというべきであり、これら事情を勘案すれば、本件交通事故も未だ右懲戒解雇の事由とはならないとみるのが相当である。
 そうだとすると、これらの事由を理由として申請人を懲戒解雇に付するのは、はなはだ酷という他はなく、解雇権の濫用といわざるをえない。のみならず、会社が、右程度の事由をもってあえて申請人を懲戒解雇に付したのは、前記二で認定した本件懲戒解雇に至る経緯を勘案すると、申請人が熱心に組合強化の活動をしたからに他ならなく、申請人がそうまで熱心に組合活動をしなければ、本件懲戒解雇はなされなかったであろうと認められるのであって、そうすれば、本件懲戒解雇そのものが不当労働行為に当るというべきである。従って、本件懲戒解雇は右いずれの点からするも無効であって、会社の右主張は採用できない。