全 情 報

ID番号 03313
事件名 地位保全金員支払仮処分申請事件
いわゆる事件名 大阪工業協会事件
争点
事案概要  無断欠勤、同僚との協調性の欠如、勤務成績不良を理由とする通常解雇につき、右事由は懲戒解雇事由に該当するとしてその懲戒手続による解雇をなしうるとした事例。
参照法条 労働基準法2章
体系項目 解雇(民事) / 解雇事由 / 勤務成績不良・勤務態度
解雇(民事) / 解雇事由 / 職務能力・技量
解雇(民事) / 解雇事由 / 協調性の欠如
裁判年月日 1979年10月9日
裁判所名 大阪地
裁判形式 決定
事件番号 昭和51年 (ヨ) 3772 
裁判結果 却下
出典 労働判例329号41頁/労経速報1031号13頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔解雇-解雇事由-協調性の欠如〕
〔解雇-解雇事由-勤務成績不良・勤務態度〕
〔解雇-解雇事由-職務能力・技量〕
 しかしながら、被申請人協会の就業規則四七条は懲戒解雇事由として、「第三章の服務規律に違反しその程度重大なもの」(一号)、「正当な理由なく一ケ月の内無届欠勤一四日以上に及んだもの」(五号)、「故意又は重大な過失により協会に損害を与えたもの」(六号)、「業務命令に不当に反抗し、職場の秩序をみだしたもの」(七号)、「その他前各号に準ずる行為のあったもの」(八号)等を列挙しており、申請人の前示行為はこれらのうち少くともいずれかに該当すると思われるところ、懲戒解雇事由に該当するものを、通常解雇の手続で解雇することを許さない趣旨でないことは明らかであるから、解雇一般に関する三六条に明文がなくても、懲戒解雇事由に当るほどの服務規律違反のあったものを解雇することは、何ら三六条に抵触することなく許されるといわなければならない。
 また、前示疎明事実から明らかなとおり、本件解雇は申請人の上司同僚に対する日常の非協調的言動が理由になっている。一般事務職におけるある程度の協調性は、職場の人間関係を円滑にしていくことが事務処理の円滑向上につながることにかんがみて、労働者に求められる不可欠必須の要件といわなければならないが、申請人にはこの協調性が性格的に欠けるところがあり本人の努力によってこれを補うこともむつかしい面があったと認められ、これは就業規則三六条四号に該当するとみることができる。被申請人が解雇事由として右三六条四号を掲記した理由の一つは、右のような趣旨にあると解されるのである。
 以上の考察によると、本件解雇予告はむしろ正当な事由に基づくものと認められ、申請人の主張は理由がないといわなければならない。