全 情 報

ID番号 03347
事件名 損害賠償請求事件
いわゆる事件名 航空自衛隊第三航空団事件
争点
事案概要  航空自衛隊所属のジェット戦闘機の機材不良による墜落事故について国の安全配慮義務違反が問われた事例。
参照法条 民法415条
体系項目 労働契約(民事) / 労働契約上の権利義務 / 安全配慮(保護)義務・使用者の責任
裁判年月日 1978年4月5日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 昭和50年 (ワ) 6241 
裁判結果 棄却(控訴)
出典 訟務月報24巻6号1222頁
審級関係 控訴審/03127/東京高/昭59. 7.19/昭和53年(ネ)1118号
評釈論文
判決理由 〔労働契約-労働契約上の権利義務-安全配慮(保護)義務〕
 国と国家公務員(以下「公務員」という)との間において、国は公務員に対し、国が公務員遂行のために設置すべき場所、施設もしくは器具等の設置管理にあたつて、公務員の生命および健康等を危険から保護するよう配慮すべき義務を負つているものと解するを相当とする(最高裁判所昭和五〇年二月二五日第三小法廷判決、民集二九巻二号一四三頁)。
 そこで右の見地に立脚して考察すると、本件において、被告は、その職務として訓練計画に基づく緊急発進訓練のため本件事故機に搭乗する訴外Aに対し、同機の飛行の安全を保持して同訴外人の生命および健康等を危険から保護するよう配慮を尽くすべき義務を負い、この場合、右安全配慮義務の具体的内容としては、同機の各部品の性能を保持し、機体の整備・点検・修理等を完全に実施すべきであるといわなければならない。
 (中略)
 本件事故は本件事故機の離陸直後前記真空管に生じた不具合が原因で発生したものであるところ、航空自衛隊が採用していた前記整備体系のもとにおいてはその整備の段階において右不具合を発見する可能性はなかつたし、従つてこれを統御することも不可能であつたといわざるを得ない。しかも、右整備体系そのものが自衛隊員の生命を危険から保護するものとして不完全であることを首肯せしめるに足る証拠はない。
 してみると、被告において本件事故機の飛行により訴外Aの生命を危険から保護するよう配慮すべき義務(前記安全配慮義務)を尽くさなかつた旨の原告らの主張は肯認できないものである。