全 情 報

ID番号 03480
事件名 懲戒処分取消・給料等各請求併合事件
いわゆる事件名 近畿郵政局事件
争点
事案概要  全逓のストライキに際して他の組合員に対してスト参加を働きかけたことを理由として懲戒減給処分とされた分会長がその効力を争った事例。
参照法条 公共企業体等労働関係法17条
国家公務員法82条
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒権の限界
懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 違法争議行為・組合活動
裁判年月日 1975年4月24日
裁判所名 大阪地
裁判形式 判決
事件番号 昭和42年 (行ウ) 59 
昭和47年 (ワ) 4018 
裁判結果 (一部認容・確定)
出典 時報784号108頁/訟務月報21巻6号1305頁
審級関係 控訴審/大阪高/昭52. 3.29/昭和50年(行コ)27号
評釈論文
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒権の限界〕
〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-違法争議行為・組合活動〕
 被告局長が国公法第八二条所定の懲戒処分のうちいずれを選択するかは、被告局長の裁量にまかされるが、その裁量は、被処分者の行為の態様、程度、その他の情状を考慮した合理性のある妥当なものでなければならない。
 ところが、原告Xについて認定できる行為は、前記のとおり、一般組合員の場合とほとんどかわらず単に本件ストに参加したというにとどまるのであるが、前記各証拠とくに〈証拠略〉により認められる、一般のスト参加者はもとより原告Xよりも積極的に右ストに関与したとみられる集配課その他の各分会選出の支部執行委員らも訓告もしくはたかだか戒告処分にしか付せられていないことからすると、被告局長の原告Xに対する本件処分は、他の組合員に対する処分に比し均衡を失しているといわざるをえない。もつとも、〈証拠略〉によると、郵政省と全逓との間の取り決めにより、四か月未満の減給と戒告とでは、処分後の昇給延伸等の不利益につき差は生じないものとされていることが認められるが、このことを考慮しても、減給の場合は現実に俸給が減ぜられるわけであるから、この点だけからみても戒告との間には相当の懸隔のある重い処分であることは否めない。したがつて、その間の選択には、合理的な妥当性が保たれなければならないものというべきところ、原告Xに対する本件処分は右のように均衡を失しているから、被告局長にはその選択について裁量の範囲を逸脱した違法があるものというほかはない。