全 情 報

ID番号 03544
事件名 地位保全等仮処分申請事件
いわゆる事件名 東芝レイ・オ・バック事件
争点
事案概要  三〇歳以上の男子と既婚の女子を準社員として期間の定めをつけて雇傭する方式をとっていた会社において、右準社員として採用された既婚の女子が期間満了により雇止めされた事件で地位保全の仮処分を申請した事例。
参照法条 労働基準法2章
労働基準法3条
日本国憲法14条
体系項目 解雇(民事) / 短期労働契約の更新拒否(雇止め)
裁判年月日 1974年11月29日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 昭和47年 (ヨ) 2277 
裁判結果 棄却(控訴)
出典 時報765号109頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔解雇-短期労働契約の更新拒否(雇止め)〕
 債権者は、右基準により既婚の女子を一律に准社員として雇傭することは性別による差別であり婚姻の自由を侵すものであるから、右基準に基づいて付された期間の定めは無効であると主張するのであるが、《証拠略》によれば、右基準は過去において既婚の女子を正社員として採用した場合出産、育児その他家事に追われて恒常的基幹的労働力としての期待を裏切られることが多かったという経験に基づいて設けられたものであり、しかもこれは採用の基準であって(正社員として採用された後結婚した女子はそのまゝ正社員として雇傭される)、既婚の女子であっても正社員に登用される途も開かれていることが一応認められるので、右採用の基準は合理的なものとして容認できるし、債務者に雇傭されるか否かは勿論応募者の自由であるから右採用の基準が婚姻の自由を侵すものとは到底考えられない。
 (中略)
 期間の定めがある雇傭契約であっても、被傭者において期間満了後も引続き雇傭されることを期待しそれに合理的理由がある場合には、雇傭関係を終了させることは実質上解雇の場合と変らないので、そのためには更新拒絶の意思表示を必要とし、しかも右拒絶が思想信条を理由とする差別的取扱など信義則上許されない時又は権利の濫用にわたる時は無効と解するのが相当である。