全 情 報

ID番号 03627
事件名 地位確認請求事件
いわゆる事件名 東京国税局事件
争点
事案概要  前後一六回にわたり、その都度一定の任用予定期間を定めて日々雇用の非常勤の用務員として任用されていた国家公務員が任用期間満了により退職とされたことについてその効力を争った事例。
参照法条 国家公務員法60条
人事院規則8-12(職員の任免)15条の2
労働基準法21条但書
体系項目 解雇(民事) / 短期労働契約の更新拒否(雇止め)
解雇(民事) / 解雇予告 / 期間満了と解雇予告
裁判年月日 1972年5月25日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 昭和44年 (行ウ) 56 
裁判結果 棄却
出典 行裁例集23巻5号337頁/時報686号92頁/タイムズ291号239頁/訟務月報18巻8号1288頁
審級関係
評釈論文 慶谷淑夫・判例評論171号32頁/中西又三・自治研究49巻11号167頁
判決理由 〔解雇-短期労働契約の更新拒否(雇止め)〕
 国公法第一条第一項がうたう同法制定の目的に鑑みれば、少くとも恒常的に置く必要がある官職に充てるべき常勤の職員については、職員の身分を保障し、職員をして安んじて自己の職務に専念させ、以つて公務の能率的運営に資するため、期限の定めなしに任用するのが同法の建前であり、したがつて職員の任期を定めた任用は、それを必要とする特段の事由が存し、且つ任期を定めることがその建前の由つて立つ右の趣旨に反しない場合に限つて許される、との解釈も充分に成り立つのである(最判昭和三八年四月二日、民集第一七巻第三号四三五頁参照)。ちなみに、人事院規則八-一二職員の任免第一五条の二(期限付任用禁止の原則、但し昭和四三年一二月一六日施行であるから、本件には適用がない。)の規定は、右のような解釈を前提として設けられたものと解される。そして右解釈の根拠が右に説示したところに存する以上、その解釈は、恒常的に置く必要のある常勤の一般職公務員についてのみならず、いわゆる非常勤の公務員であつても、勤務の実態が常勤の職員と同様であるような職員については、等しく妥当するものとしなければならない。
〔解雇-解雇予告-期間満了と解雇予告〕
 国公法第一次改正法律附則第三条によつて準用される労働基準法第二一条但書、第一号、第二〇条第一項本文の規定により、原告のように日々雇用された職員が一か月を超えて引き続き使用されるに至つた場合、被告が該職員との日雇契約の締結を拒否しようとするときは、少くとも三〇日前にその予告をするか、または三〇日分以上の平均賃金を支払わなければならないものと解される。