全 情 報

ID番号 03670
事件名 雇用契約存在確認請求事件
いわゆる事件名 日立製作所事件
争点
事案概要  会社における朝礼の際、会社は自分に退職を強要している旨発言し、かつ会社の通勤門付近において二度にわたり、会社は自分の思想を理由に退職を強制している等の内容が含まれるビラを配布したことを理由としてなされた臨時員の懲戒解雇の効力が争われた事例。
参照法条 労働基準法89条1項9号
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 会社中傷・名誉毀損
懲戒・懲戒解雇 / 懲戒解雇の普通解雇への転換・関係
裁判年月日 1971年3月11日
裁判所名 水戸地
裁判形式 判決
事件番号 昭和36年 (ワ) 96 
昭和36年 (ワ) 187 
裁判結果
出典 労働民例集22巻2号243頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-会社中傷・名誉毀損〕
 原告の前記朝礼の際の言動および二度に及ぶビラの配布行為は、被告会社およびその従業員に対し、事実を歪曲してその名誉を毀損する背信行為であり、被告会社の経営秩序に違反するものであつて、被告会社国分工場の臨時員就業規則(乙第一号証)第六六条第九号に定める懲戒基準に該当し、かつ行為の時期、場所、態様、および結果を総合検討するとき、その情状は重く懲戒解雇に値するものといわなければならない。
〔懲戒・懲戒解雇-懲戒解雇の普通解雇への転換〕
 使用者が就業規則において解雇基準を定めた場合、解雇事由の限定列挙とみるか、あるいは例示列挙とみるかは、右の解雇基準条項の表現および従前の慣行等を総合検討して判断すべきこというまでもないが、一般的にいつて使用者が解雇事由を前記の解雇基準に自律限定するというようなことはむしろ例外であり、懲戒解雇事由にも比すべき事由があつて普通解雇を受けても已むを得ないと考えられる場合には解雇事由の定めにかかわらず解雇できる趣旨と解するのが相当である。