全 情 報

ID番号 03697
事件名 損害賠償請求事件
いわゆる事件名 協栄生命保険事件
争点
事案概要  保険勧誘の業務に従事していた者が、自分の保険募集の実績等では本採用は無理であることを知らされて、三カ月の経過とともに退職し、三カ月経過後本採用として見習期間と同額以上の給与の支払をなすかの如く欺かれ、雇用契約を締結させられ、駐留軍退職者就職促進手当の支給を打切られたとして損害の賠償を請求した事例。
参照法条 労働基準法2章
労働基準法9条
体系項目 労基法の基本原則(民事) / 労働者 / 委任・請負と労働契約
裁判年月日 1971年9月13日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 昭和44年 (ワ) 7732 
裁判結果 棄却(控訴)
出典 時報657号66頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔労基法の基本原則-労働者-委任・請負と労働契約〕
 原告の仕事は、いわゆる保険勧誘員であることを原告は了承して就職したこと、被告会社との関係は保険募集事務の委託関係(前示文書中には一部雇傭関係を示すが如き用語はあるけれども)であり、雇傭ではないこと、被告会社の外務書記に採用されるのは、見習期間中に一定額以上の保険募集の実績、並びに資格認定試験が必要であること、満六〇才を超えるものは書記採用は望めず、書記補職の委嘱を受けることがあるのみであることを記載した書面を示され、原告はこれに署名していること、原告は就職に際し右の点をたゞしていないこと、原告は就職後被告会社の為と考え募集に努力したが、昭和四四年二月中旬頃、同僚から、原告の募集実績では本採用を望むことは困難であることを知らされ、Aに特別に本採用されたい旨の申出をなしたが認められなかったこと、そこで原告は三ケ月経過とともに辞職したものであること、以上認めることができ(る。)《証拠判断略》
 右の事情から考えれば、原告は就職に当り、見習期間の身分は社員(雇傭)ではないこと、見習期間経過後本採用(社員としての採用)になるためには、通常の試用期間中の社員の場合と異なり、厳格な条件のあることを示されていたものと認めるのが相当であり、原告の退職は主としてその希望的見透しが容れられなかったためのものと解すべきで右の点について三ケ月後は容易に本社員となれるものと被告会社に欺罔されたとする原告の主張は容認できない。