全 情 報

ID番号 04014
事件名 賃金請求事件
いわゆる事件名 国鉄津田沼電車区事件
争点
事案概要  すでに時季指定をしていた半日の年休につき、ストライキの繰り上げにともない右年休をストライキを利用したことにつき、事後に欠勤として賃金カットを行なったことが適法とされた事例。
参照法条 労働基準法39条
体系項目 年休(民事) / 年休の自由利用(利用目的) / 一斉休暇闘争・スト参加
裁判年月日 1988年9月28日
裁判所名 千葉地
裁判形式 判決
事件番号 昭和60年 (ワ) 1794 
裁判結果 棄却
出典 労働判例531号93頁/労経速報1362号8頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔年休-年休の自由利用(利用目的)-一斉休暇闘争〕
 前記二、三認定の事実によれば、動労千葉は、津田沼支部を拠点の一とし、総武線千葉以西の旅客列車の運行停止を意図して前記争議行為を行ったものであり、前記争議行為により前記二1(三)のとおり列車の運行に著しい影響が生じ、動労千葉津田沼支部が置かれた津田沼電車区においても、総武緩行線の旅客列車が運休・遅延するなど旅客列車の運行に著しい影響が生じ、同電車区における事業の正常な運営が阻害されたものである。原告は、当初から前記争議行為に参加する目的をもって前記年休を請求したものではないが、前記争議行為の前日である昭和六〇年一一月二七日、二九日に予定されていたストライキが二八日に繰り上げられ、二八日正午から実施されることを知り、同電車区の担当助役に対し前記年休が承認されていることを確認しながら、前記年休の請求をそのまま維持したうえ、前記年休の日に勤務しないで、自己の所属する事業場である津田沼電車区における争議行為に参加し、前記のように積極的な役割を果たしたものである。そして、原告の右の行動、原告の動労千葉本部の役員歴、津田沼支部における役員の地位及び動労千葉の闘争方針などを考慮すれば、原告はその当時電車区長が前記年休請求に対し時季変更権を行使したとしても、それに従う意思を有しなかったことは明らかである(これに反する原告本人の供述は右各事実に照してにわかに措信しえない。)。
 これらの事実によれば、原告は、自己の所属する事業場である津田沼電車区でなされる前記争議行為に参加する目的をもって、前記年休請求を維持し、職場を離脱したものであり、前記争議行為はその意図においても、実際の結果においても、同電車区における事業の正常な運営を阻害する程度の規模及び態様でなされたものであるから、原告の行為は、その実質は、年次休暇に名を藉りた同盟罷業であり、本来の年次休暇権の行使ではないというべきである。
 したがって、被告主張のように、原告の行為が年休闘争であるか否かはともかくとしても、原告の請求にかかる休暇日に年次休暇関係が成立する余地はない。
 3 してみれば、本件賃金カットは有効というべきである。