全 情 報

ID番号 04157
事件名 懲戒処分取消請求事件
いわゆる事件名 山口県教委事件
争点
事案概要  学力テスト反対行動を理由とする停職処分を無効とした原審が認容された事例。
参照法条 労働基準法89条1項9号
地方公務員法29条1項
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒権の濫用
懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 業務妨害
裁判年月日 1984年12月18日
裁判所名 最高三小
裁判形式 判決
事件番号 昭和53年 (行ツ) 2 
裁判結果 棄却
出典 労働判例443号23頁/判例地方自治11号48頁
審級関係 控訴審/01822/広島高/昭52.10. 7/昭和48年(行コ)3号
評釈論文 兼子仁・公務員判例百選〔別冊ジュリスト88号〕80頁/小西国友・ジュリスト869号121頁/俵正市・教育委員会月報414号4頁/野川忍・労働判例450号15頁/林修三・時の法令1253号50頁/林修三・時の法令1254号50頁/林修三・時の法令1255号50頁
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-業務妨害〕
 原審が適法に確定した事実関係の下においては、被上告人Yについて、その言動が生徒の本件学力調査拒否行動に影響を及ぼした面のあることは否定できないとしても、所論事実関係をもって生徒に対する受験拒否の教唆・扇動があったものとみることはできないとした原審の判断は、是認しえないものではなく、原判決に所論の違法があるとはいえない。論旨は、採用することができない。
〔懲戒・懲戒解雇-懲戒権の濫用〕
 地方公務員法(以下「法」という。)は、職員につき同法所定の懲戒事由がある場合に、懲戒処分を行うかどうか、懲戒処分を行うときにいかなる処分を選ぶかについては、当該組織の事情に通暁した懲戒権者の広範な裁量に委ねているものと解すべきことは所論のとおりであるが、右の裁量は恣意にわたることをえないものであることももとより当然であって、処分が社会観念上著しく妥当を欠き、裁量権を濫用したと認められる場合には違法であると判断すべきものである(最高裁昭和四七年(行ツ)第五二号同五二年一二月二〇日第三小法廷判決・民集三一巻七号一一〇一頁参照)。そして、この理は、公立学校の教員に対して行われる懲戒処分についての司法審査においてもなんら異なるものではない。