全 情 報

ID番号 04166
事件名 地位保全仮処分申請事件
いわゆる事件名 日放サービス事件
争点
事案概要  消化器系の病気がちの従業員が「身体の障害により業務にたえない」場合、との理由で解雇されその効力を争った事例。
参照法条 労働基準法89条1項3号
体系項目 解雇(民事) / 解雇事由 / 病気
裁判年月日 1970年2月16日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 昭和42年 (ヨ) 2411 
裁判結果 却下
出典 タイムズ247号251頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔解雇-解雇事由-病気〕
 被申請会社においては、毎年一回以上定期的に、必要があれば随時に、従業員に対する健康診断を実施することとし(就業規則第五五条)、従業員の健康管理に留意するほか、その就業規則において、私傷病による欠勤が長期に及ぶ場合には期間を定めて休職を命ずること(同規則第一三条)、従業員の能力、適性に応じ転勤または職場移動を命ずること(同規則第一一条、同条にいう能力適性には従業員の身体的条件である健康状態が除かれているものとは解し得られない)を、定めていることが明らかで、これら就業規則の各規定の趣旨からすれば、被申請会社の就業規則第一九条第二号にいう「精神又は身体の障害により業務に堪えられないと認められたとき」とは、前示休職、配転制度の活用を配慮してもなおかつ被申請会社の業務に堪えられないと認められる客観的な精神または身体の障害事由のある場合をいうものと解するのが相当である。
 (中略)
 申請人は被申請会社に入社以来、株式会社A、被申請会社サービス課、B株式会社の山口県相生局の米軍マイクロウエーブ中継所などに派遣もしくは配転されて被申請会社の業務に従事して来たものであり、かつ申請人と被申請会社間の労働契約において、申請人の就くべき職種をC株式会社府中工場における設計製図の業務に限定する旨の特段の約定のあつたことを認めるに足る疏明のない本件においては、申請人が同工場において従事していた設計製図の業務に堪えられない病状にあつたにしても、被申請会社としては、申請人の配置転換もしくは病気休職を命ずるのが相当な措置であつたといわなければならない。