全 情 報

ID番号 04288
事件名 仮処分申請事件
いわゆる事件名 倉敷中央病院事件
争点
事案概要  看護婦に対する事務職への配転命令と右命令拒否を理由とする懲戒解雇につき、配転命令は業務上の必要性なくなされたもので配転命令権の濫用にあたり、懲戒解雇も権利濫用にあたり無効とされた事例。
参照法条 労働基準法2章
労働基準法89条1項9号
民法1条3項
体系項目 配転・出向・転籍・派遣 / 配転命令権の濫用
懲戒・懲戒解雇 / 懲戒権の濫用
懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 業務命令拒否・違反
裁判年月日 1968年3月27日
裁判所名 岡山地
裁判形式 判決
事件番号 昭和41年 (ヨ) 151 
裁判結果 一部認容,一部却下
出典 労働民例集19巻2号493頁/タイムズ232号215頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔配転・出向・転籍・派遣-配転命令権の濫用〕
 以上かれこれ考え合せると、本件配置転換は、業務遂行上これを必要とする合理的理由がなく、健康管理に名をかりた配転命令は、結局病院の勝手にすぎ、指示命令権の濫用であるから、その効力を生ずるに由ないというべきである。従つて、申請人は指示された職場で指示された業務に服する義務を有しない。
〔懲戒・懲戒解雇-懲戒権の濫用〕
〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-業務命令拒否・違反〕
 申請人が病院の右命令に従わなかつたのは当然であり、これによつて、職場の規律、秩序をみだしたとすることはできないから、就業規則第九三条第五号、第一二号に該当しないことは明らかである。病院が右規定を適用して、申請人に対してなした懲戒としての解雇の意思表示は、懲戒の理由なくしてなされたもので解雇権の濫用にほかならないから、その効力を生じないというべきであり、申請人は病院に対しなお前記労働契約にもとずく権利を有するものである。