全 情 報

ID番号 04329
事件名 休日勤務手当金等請求事件
いわゆる事件名 大阪府松原市事件
争点
事案概要  小学校の教員が日曜日にあたる日に入学式の準備等のため勤務に服したことにつき休日勤務手当を請求した事例。
参照法条 労働基準法33条
労働基準法37条
体系項目 賃金(民事) / 割増賃金 / 違法な時間外労働と割増賃金
裁判年月日 1967年3月27日
裁判所名 大阪地
裁判形式 判決
事件番号 昭和39年 (ワ) 4942 
裁判結果 認容
出典 行裁例集18巻3号316頁/時報500号68頁/タイムズ207号140頁/教職員人事判例5号338頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔賃金-割増賃金-違法な時間外労働と割増賃金〕
 原告の勤務する学校は、同法第八条第一二号に掲げる教育の事業に該当するから、同法第三三条第三項の適用はなく、他に特例を認めた法律も見あたらないから、休日の振替をすることなくして教職員に休日勤務を命じ得るのは、同法同条第一項の場合、すなわち災害その他避けることのできない事由によつて臨時の必要がある場合行政官庁(地方公務員法第五八条第四項によつて人事委員会とされている。)の許可を受けて行う場合以外にはなく、休日に入学式ないしその準備を行う必要があるというような理由は右規定にいわゆる災害その他避けることのできない事由に該当しないこと明かであるから、本件の場合の学校長の職務命令は適法でなかつたことになるところ、このような適法でない職務命令によつて休日勤務をなした者についても休日勤務手当請求権が認められるかどうかが労働基準法第三七条の規定の文言から一応疑問となるが、同条の立法趣旨が使用者に対して時間外労働および休日労働に対する割増賃金の支払を強制することによつて間接に同法三二条、第三五条の労働時間、休日に関する規定が遵守されることを担保しようとする点にあることを考えるならば、このような休日労働に対してはなお一層強い理由で休日勤務手当の請求権が認められなければならないと解するのが相当である。
 なお、被告は休業期間中の事情からみて単に休日振替の措置を欠く程度の瑕疵は軽微なものであるから、原告の本訴請求は権利乱用として許されるべきものではないと主張するが、学校の休業期間中の教職員の勤務の実情が被告主張のとおりであるとしても、これがため労働基準法に定められた使用者の義務の履行が安易であつてよいという理はないし、本件の権利行使によつて、原告が受くべき経済的利益が保護に値しない程少額であると謂うこともできないから、この点の被告の主張も採用しない。