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ID番号 04746
事件名 懲戒処分取消請求事件
いわゆる事件名 北九州市職員事件
争点
事案概要  市の一般行政職員および地方公営事業(市立病院)の職員が病院職員の減員等を柱とする財政再建案に反対して職場放棄ないし同盟罷業をしたことにつき、これを企画、指導、または参加した右職員らが懲戒免職処分等の処分を受けた事例。
参照法条 地方公営企業労働関係法11条1項
地方公務員法29条1項
地方公務員法37条1項
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 違法争議行為・組合活動
裁判年月日 1989年4月25日
裁判所名 最高三小
裁判形式 判決
事件番号 昭和59年 (行ツ) 36 
裁判結果 棄却
出典 時報1336号128頁/タイムズ719号125頁/労働判例553号20頁/金融商事845号35頁/判例地方自治69号21頁
審級関係 控訴審/01903/福岡高/昭58. 9.29/昭和55年(行コ)14号
評釈論文 石井将・労働法律旬報1221号42~51頁1989年8月10日/竹内民生・平成2年度主要民事判例解説〔判例タイムズ臨時増刊762〕364~365頁1991年9月/野間賢・季刊労働法153号192~193頁1989年10月
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-違法争議行為・組合活動〕
 本件争議の態様は、北九州市職員組合と北九州市役所労働組合による昭和四二年一二月一四日の始業時から約一時間の職場離脱と北九州市病院労働組合による翌一五日の二四時間にわたる二病院での同盟罷業であり、その同盟罷業においては、日曜休日なみの診療体制が維持され、混乱回避のための諸種の措置がとられたというのであり、住民の公共的利益にはさほど大きな影響は与えていないものとみられる。上告人らは、いずれも一般行政職員であり、組合の役員として病院の同盟罷業を含む本件争議を企画、指導したものであるから、その責任は決して軽いものではなく、相応の懲戒処分を課せられることはやむをえないところであるが、右の事情に照らしてみると、上告人X1に対する懲戒免職処分は、同上告人が本件争議について実質的に最高責任者の地位にあったことを考慮にいれても、その行為の違法性の程度と対比して著しく均衡を失しており、裁量権を濫用したものとして違法といわざるをえない。しかし、その余の上告人X2外三名に対する懲戒処分は、六か月の停職処分にとどまるものであり、本件争議の態様、影響、各上告人の地位及び役割等にかんがみて、それが制裁として適切なものであったかどうかの点は格別、裁量権を濫用したものとまではいうことができない。