全 情 報

ID番号 04816
事件名 地位保全・給与支払仮処分申請事件
いわゆる事件名 繁機工設備事件
争点
事案概要  水道配管会社の女性事務員が、妻子ある同僚男性職員との不倫を理由として風紀を乱したとして懲戒解雇されその効力を争った事例。
参照法条 労働基準法89条1項9号
体系項目 解雇(民事) / 解雇事由 / 企業秩序・風紀紊乱
裁判年月日 1989年12月27日
裁判所名 旭川地
裁判形式 判決
事件番号 昭和63年 (ヨ) 60 
裁判結果 一部認容・却下(確定)
出典 時報1350号154頁/タイムズ724号195頁/労働判例554号17頁/労経速報1387号3頁
審級関係
評釈論文 坂本重雄・判例評論384〔判例時報1367〕210~213頁1991年2月1日/石松亮二・労働判例百選<第6版>〔別冊ジュリスト134〕134~135頁1995年5月/浅倉むつ子・季刊科学と思想80号148~150頁1991年4月
判決理由 〔解雇-解雇事由-企業秩序・風紀紊乱〕
 2 解雇の効力
 債権者が妻子あるAと男女関係を含む恋愛関係を継続することは、特段の事情のない限りその妻に対する不法行為となる上、社会的に非難される余地のある行為であるから、債務者の前記就業規則第二三条二号所定の「素行不良」に該当しうることは一応否定できないところである。しかしながら、右規程中の「職場の風紀・秩序を乱した」とは、これが従業員の懲戒事由とされていることなどからして、債務者の企業運営に具体的な影響を与えるものに限ると解すべきところ、前記認定の債権者及びAの地位、職務内容、交際の態様、会社の規模、業態等に照らしても、債権者とAとの交際が債務者の職場の風紀・秩序を乱し、その企業運営に具体的な影響を与えたと一応認めるに足りる疎明はない。債務者は、債権者がAと共に一つのどんぶりからラーメンを食べるなど常軌を逸した行為に及んだため、債務者の従業員が右の行為等を見るに見兼ねて事務所に立ち入らなくなったし、Aが必要な仕事をせずに事務所で債権者と一緒にいるようになった旨主張し、〈証拠〉にはこれに沿う部分があるが、これらはいずれも〈証拠〉に照らし措信できず、他に債務者の右主張事実を一応認めるに足りる疎明はない。