全 情 報

ID番号 04880
事件名 仮処分申請事件
いわゆる事件名 三菱化工機事件
争点
事案概要  旧会社の従業員が、企業再建整備法に基づき旧会社の新勘定に所属する資産の出資により設立された新会社との間に雇傭契約が承継されたものとして新会社の従業員としての地位保全の仮処分を申請した事例。
参照法条 労働基準法2章
体系項目 労働契約(民事) / 労働契約の承継 / 新会社設立
裁判年月日 1950年4月26日
裁判所名 横浜地
裁判形式 判決
事件番号 昭和25年 (ヨ) 11 
裁判結果 却下
出典 労働民例集1巻2号266頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔労働契約-労働契約の承継-新会社設立〕
 申請人等が旧会社の従業員であつたこと及び被申請人が申請人主張のような特別経理株式会社である旧会社の新勘定に所属する資産の出資を以て、昭和二十四年九月一日設立された第二会社であることは、当事者間争ないところである。申請人等は右第二会社である被申請人がその旧会社の新勘定に属する資産の出資をうけた以上、当然指定時後(昭和二十一年八月十一日午前零時)新勘定の負担となつたすべての債務を承継するから、旧会社と従業員との間の雇傭関係その他の権利義務は、第二会社たる被申請人に承継されると主張するが、特別経理会社と第二会社とは別箇独立の会社であつて、ただ企業再建整備法第十条は特別経理株式会社が新勘定に所属する資産の全部又は一部を出資する場合においては、その債権者を保護する必要上第二会社は指定時後特別経理株式会社の新勘定の負担となつた債務を承継する旨規定したものと解すべく、従つて第二会社の負担すべき債務は、既に、具体的に発生した債務に限られ、雇傭関係のように将来継続する権利義務の関係は当然これを承継するものというを得ない。しからば申請人等と旧会社の雇傭関係は法律の規定によつては当然第二会社である被申請人に承継せられず結局申請人が本件申請を以て保全せんとする請求はその疏明がないこととなる。