全 情 報

ID番号 04951
事件名 雇用関係存在確認等請求事件
いわゆる事件名 テレビ東京事件
争点
事案概要  テレビ会社と下請会社の従業員との間に黙示の労働契約が成立していたとはいえないとして、右テレビ会社と従業員の雇用関係存在確認の訴えが棄却された事例。
参照法条 労働基準法2章
体系項目 労基法の基本原則(民事) / 労働者 / 派遣労働者・社外工
裁判年月日 1989年11月28日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 昭和52年 (ワ) 6549 
裁判結果 棄却
出典 時報1351号149頁/労働判例552号39頁/労経速報1382号3頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔労基法の基本原則-労働者-派遣労働者・社外工〕
 3 しかして、右認定の事実即ち原告は入社以来一貫して被告会社の定めた日程の中でその指揮に従って録画業務に従事していたこと、原告が被告会社の週休希望表に記入することにより事実上勤務形態が定まり、原告ら下請従業員はそれに従って業務に従事していたこと、したがって、被告会社は、事実上右下請従業員の休暇を把握し、また、右下請従業員にも緊急連絡場所等を申告させていたこと、また時間外勤務の要否は概ね被告会社の判断に任せられていたこと、原告所属の東京地区労組の代表がオブザーバーとして参加している被告会社と民法労連A労働組合との間の事務折衝において、夏季及び年末の酒肴料名義の一時金が支給されることが決められていたこと等の事実に、前記1(二)で認定の被告会社と原告との間に相当強度の指揮命令関係が存した事実を併せ考えると、その限りにおいて右の両者間に雇用関係が存したと評価し得ないわけではない。
 しかしながら、また右認定の各事実によると、原告は被告会社に面接のうえ採用されたわけではなく、B社から被告会社の録画班に派遣されていたCの交替要員として単に被告会社に派遣されてきたものであり、被告会社は原告という特定の人物に着目して業務を遂行させるようになったものではなく、単にB社から派遣されている従業員のうちの一人が交替したと捉えていたにすぎないこと、B社時代には原告に対する勤務及び労務の管理が十分ではなかったが、D社がB社の業務を引き継ぎ、原告らがその移籍に同意をして被告会社の業務を行うようになってからは、D社は、その就業規則において独自に勤務時間、休暇等を定め、出勤表を用意するなどして原告ら従業員の勤務状況の把握に努め、現場責任者等を介して従業員の評価を行うと共に、原告ら従業員に対し、賃金、一時金等を直接支払っており、その従業員を被保険者として各種社会保険に加入しており、また原告らの属する東京地区労組はD社に対し労働条件の改善等の諸要求を掲げてこれと交渉していることが明らかであり、かかる事実に鑑みると、D社は原告ら従業員の雇用主として独自に指揮命令権を有し、労務管理を行っており、原告ら従業員に対し、賃金等労務の対価を支払っているものというべきであって、原告が、少なくともD社の支配関係を離れて、直接被告会社の指揮命令の下に拘束を受けて就労する状態にあり、直接原告と被告会社との間に黙示の労働契約が成立していたということは未だできない。